人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

あちこちに仕掛けられた誘惑

「じゃあ、俺がひとりで連れて行くよ。」

朝、ダンナはすっかり着替えて、まだ寝ている私に言いに来た。

へ?どこ行くの??眠いんすけど。

「エルを病院に連れて・・・。」

う~ん、う~ん、昨日の夜の事を思い出してみる。

そうだった、エルの舐めハゲが悪化してきたから、朝イチで病院へ行こうと言ってたんだった。

しかしこの体たらく。

どこから病院の件を忘れ、飲みに全力を注いでしまったのだろう??

う~、待って下さい、私も行きます。

結局この1週間、まともに眠れた日がなかった。

いつもならさすがに週の後半になれば眠れるようになるのだが、どうしたことか、寝不足で終わってしまった。

そのくせ酒が入ると眠気は飛んで、夜更かししてしまう。

もうっ、だから土曜日は眠いんだ。

しかし、エルへの愛情を疑われたらたまらない。

私だってエルが大切なのよ、何さ、目覚しセットするの忘れちゃっただけじゃん。

病院行く話も忘れていたが。

頑張って起きたのに、病院は超超超混みで、外まで人が溢れていた。

無理だ、出直そう。

明日また朝来るつもりだが、しかし起きれるだろうか。

今夜もたくさん飲む予定。

家に帰ると、また寝る事にした。

ちゃんとパジャマに着替えての二度寝だ。

ところでパジャマって凄い。

あのクタクタ感、どんなに布団の中でゴロゴロ転がっても、体に優しい食感、ではなく感触。

今日、そんな事に気付いてしまったのだが、これからは二度寝、昼寝の際にもしっかりパジャマを着用することに決めた。

「今日はのんびり過ごす事にしようか。」

ダンナがそう声を掛けに来たのは、もう1時を回ったころだ。

眠い。

超超超眠い。

無理だ。起きれない。のんびり過ごします。

いや、いいのか??

珍しく二日酔いしていないのだ。

1週間に2日しかない休日、しかも二日酔いがないなんて、これを生かさずどうするのだ。

もの凄く眠かったが(眠さを表す単位があったらそれがどれ程か伝えられるのだが)、時間をかけて起きた。

体を起こしては目をつぶり、ベッドから起き上がってはまた倒れ、倒れては目をつぶり、恐らくダンナは私の1日はもう終わったと思った事だろう。

そんなんで出遅れてしまった。

昨日立てた予定では福生を歩くつもりだったのだが、もう眠いし時間もあまりないから、近所の古本屋までちょっと歩いて帰って来ることにした。

そしたらまた、明るいうちから飲むか、うふふ。

帰って来たのは夜の7時であった。

もうクッタクタだ。

古本屋の途中のファミレスのランチが気になりそこでしこたま食べ、駅前の大型スーパーにちょっと寄り、安物何でも屋で物色し、古本屋で時間をかけて本を選び、家の近くの電気屋でブルーレイのセールストークを長々と聞き、ヨークマートでつまみを買って帰ったらこんな時間になってしまった。

ところで、電気屋に行きたいと言い出したのはダンナだ。

「そろそろ欲しいものがある。」とだけ言って教えてくれなかったのだが、これはさかのぼるとポンコツコンポまで戻る。

我が家のコンポ類は、全て何かしら問題を抱えているのでそれかとも思ったのだが、それではなかった。

では一体なに??とあれこれ考えているうちに、ちょっと待て。逆にどさくさで自分の欲しい電化製品をアピールするチャンスではと言うことに気がついた。

「そう言えばピアノですが・・・。」

最近急に激しい労働を課されるようになった我が家のピアノだが、実は電子ピアノである。

ボリュームを調整できるので、時間を問わずに練習できる利点があるからこれにしたのだが、ピアノの練習を復活させてから気付いたことがあった。

レだかラだかのあたりの音を押すと「ガコン」という音がするのだ。

プラスチックが何かを叩くような音だ。

ドレミファソ、と往復せずに片道なら「ひとガコン」で済むのだが、ドレミレドミレドなどと行ったり来たりするとガコガコとうるさいのだ。

「3の倍数だけアホになります」状態で、情けない。

「ドレミファガコンラシガコンミレガコンド♪」

世界のナベアツ状態で早口で歌い、笑いをとっただけで、本来の目的はうやむやになってしまった。

で、ダンナが欲しかったのはDVDレコーダーだった。

14万もするブルーレイのレコーダーの説明を延々と聞いてから、「や、俺はこんな最新のじゃなくて、録れれば良かったんだけど。」とダンナは言ったので、安心したような肩透かしを食ったような。

家に着いたら、やはりソファに座ったまま寝てしまった。

なのでまた飲みのスタートが遅れてしまった。

つまりそれは飲み終わりも遅くなる事を意味し、明日の朝キツくなるという事でもあった。

でももう飲んじゃったから知らないや♪

明日の朝、考えまっす。