新聞の三面記事に、小さく載っていた記事。
韓国側の北朝鮮との国境警備が緩んで来ていて、越境する人が増えているという話であった。
一例として、そもそも脱北した人が北に戻ったということが書いてあったが、え?逆じゃなくて??
北朝鮮と言うと、まぁその、色々と制約があって生活しづらい国と言うイメージである。脱北者の本も読んだりしたこともあり、そのイメージは結構鮮明であった。
「あっちの方が人間らしい暮らしができる」と周りにぼやいていたとのことで、自分の意志で帰って行ったことが分かる。
人間らしい暮らし。
私は見聞きした北の暮らしとはほど遠いそれが、人によっては人間らしく感じるのか。
日本も韓国も、(細かいことでは色んな問題を抱えつつも)豊かな国であると言えるだろう。
しかし場合によってはそれは、人間らしさを失わせるものなのかもしれない。
不自由な生活を強いられれば、工夫をしなくてはならない。
力を合わせて乗り越える必要も出て来るだろう。そこに、人間だけができることがある。
小さな幸せ。
灰色の世界の灯は、まばゆい世界では見えてこないもの。
私達は溢れるモノの中で、大切なことを失い続けているのかもしれない。
かと言ってじゃあ、不自由な世界に行きたいかと問われれば、キッパリ御免である。
だからこそ、北に戻った人の「人間らしさ」が尊く感じられるのだ。
飼い猫は、もう外で暮らすことはできない。
そして野良猫が不幸とも言い切れないのかもしれない。