久しぶりに「小説」を読んだのだ。読みやすかったのでサクッと読んでしまった。
主人公は、中学生の女の子だ。それぐらいの歳ごろの子が読む本かなぁ??
新興宗教にハマっている両親のもと、暮らしてきた中学3年生のちひろ。
お陰で家は貧しく、姉は家出、親戚は絶縁。両親の「奇行」も知られていて、学校ではちょっと有名になっていた。
それでも心から慈しみ育ててくれた両親を、ちひろは「普通の親」として愛した。
ちょっと変わっているかもしれない。
貧乏かもしれない。
でも、そこには幸せな家庭があったのである。それは誰にも侵せない聖域の如く、揺らぐことはない。例え親戚が批難しようと、好奇の目で見られようと。
憧れの先生。
友達。
裏切られたり、寄り添ったりしながら、大人になっていくちひろ。
ボロボロのジャージを着た両親に抱きしめられ、夜空の流れ星を見る。
「幸せ」の形・・・。
宗教にハマる家庭に育ったちひろ目線の物語だ。普通でないことが普通であるように描かれている。
危機感がないので、まったりとした日常だ。ちひろや両親ののんびりとした性格もあり、物語は静かに平和に語られる。
ともすれば退屈に感じそうなところ、「宗教」というフィルターを通されることにより歪む平和。ここで好奇や嫌悪を見せる人達というのが実際の私達なのだと思うが、そういう目線が汚れて感じるのが不思議である。
尊いものを見た気がするが、ラストのブツ切り感はちょっと残念。
読み手にこの先を想像させる終わり方だ。
そのせいで個人的には消化不良、「えっ!?これで終わり!?」という気持ちは拭えない。
ぽ子のオススメ度 ★★☆☆☆
「星の子」 今井夏子
朝日文庫