【のらくろとは】
天涯孤独の野良犬黒吉(通称・のらくろ)が、犬の軍隊の中で失敗を繰り返しながらも、徐々に出世していくマンガ作品。1931(昭和6)年新年号から『少年倶楽部』(大日本雄弁会講談社)にて連載が始まり、戦前としては異例の全10巻に及ぶ単行本が刊行される。アニメーションやレコード、グッズなども大量に作られ、キャラクタービジネスの先駆けともなった。
我が家にも昔、のらくろの復刻版があった。
当時普通に読んでいたマンガとは違い、布装ハードカバー、ケースつき、カラフルなもので、私にとってそれは「のらくろ」という特別なジャンルであった。
シリーズで揃っていただけでなく巨大な「全集」という番外編もあり、我が家ではなかなかな入れ込みようだったと思う。
戦前に発表されたというその漫画は、のらくろの軍隊の生活が非常にリアルに描かれていて、絵や言葉遣いの古さも相まって、独特なものだった。
故にあれは我が家にだけたまたま起こったブームだと思っていたが、アニメでやっていたことを考えるとそれなりに世間では浸透していたのかもしれない。
小学生の低学年の頃だ。
アニメには確か漫画にはないメスの看護婦がいて、兄らとのらくろごっこをするときは、私がオミソでこの看護婦役をやったものである。
ドジで愛嬌のあるのらくろは、ちょいちょいヘマをやらかしながら、下っ端の上等兵から伍長、軍曹、と成長していく。
私には軍隊の様式や古い言葉が難しく、ちゃんと理解していたかは疑問だ。
それでもハートウォームなのらくろのキャラと犬たちの世界が好きで、何度も繰り返し読んだものである。
そんな感じだったので、そのTシャツを見た時には、思わず買ってしまったのだ。
2012年にはブログに出て来ているので、買ったのはその頃だろう。
それにしてもだよ。
まず、これずいぶん違うのらくろだよねEE:AEB64
まぁ逆に可愛くもあって買ってしまったのもある。
だけどこれ、ちょっと勇気いるよね、着るのEE:AE4E6
のらくろを知らない人から見れば単にダサい、知っている人が見たら「あの人、のらくろ着てるwww」みたいな。
なので極力家の中で着るようにしていた。
しかし昨日は、着替えるのが面倒だったのである。
まぁマスクして帽子被ってれば、知り合いに会っても分かりはしないだろう。
覆面スタイルで家を出たが、行き先はガソリンスタンド、市役所、大型ホームセンター、動物病院と4ヶ所。
人前に出る程に恥ずかしくなってきて、最後の動物病院では看護師さんの笑顔ですら嘲笑に見えてしまった。
こんなTシャツを着て外に出るものではない。もう、のらくろを着て外などには出ない。
人をこんなに卑屈にする服も、なかなかないものである。
また、こんな気持ちで着ていることがのらくろに申し訳なくもある。
今さらながら、安いのに色んな意味で破壊力のある服であった。素人が手を出すものではない。結局持て余す羽目だ。
そんな思いでいたら、本当ののらくろが無性に懐かしくなったのだ。
あのシリーズ、もう手に入らないのかな・・・。