「鏡の法則」という本を読んだことがある。
ここでも感想を書いたが、要は人間関係は合わせ鏡だ、相手を許しさない、そうすればどんな問題も解決する、という話であった。
まぁ良く言われることである。
不思議なことに、私が不機嫌そうにしていると、それは伝染する。逆に相手が不機嫌そうだと、それは私にも伝染する。
やはりニコニコと明るく人に優しく接していれば、おのずと周りの空気も明るく優しくなるものだ。
しかしだよ、世の中にはどうしても許せない相手と言うものもいる。
許せないんだから、許したいなどとは思わない、このままでいい。そうなると関係は悪いまま、空気も悪いまま、変わることはない。
許せないのだ、それで構わん、と思っていたのが父であった。
母の死を通して、何となくまた家族として付き合うようになった。
十数年ぶりにまともに会った父は相変らず俺様で、あちこちでも衝突しているようだ。
それでも、母の死は私達の関係を大きく変えた。
「母の死」という共通の試練を乗り越え、「残された家族」という同じ立場になった。
おのずとこの関係を大切にしたいという気持ちが生まれ、それが伝わることによってお互いに変化が現れる。
父は、人を悪く言う。
あいつはどうだ、あの野郎、と、憎しみに囚われ、過去に囚われ、時々それが噴出する。
ちょっと前までは私も「あの野郎」の一人だったはずだ(笑)
また始まった、とこれまでなら私もいちいちそれにつっかかったりしたが、否定せずに「ハッピーでいこうよ」というように諭すと、「そうだ、ぽ子の言う通りだ、間違いない。」とまで言うようになった。
それが、切ない。
こんな父を大切にしなくては、と思う。
鏡の法則。
もう一度今、あの本を読みたくなった。