「電車で寝たら??」
「寝れないから。」即答である。
寝不足のまま夜中に出かけ、朝帰りの娘ぶー子である。
こういう時はすこぶる機嫌が悪く、具合が悪いだの眠いだの散々当り散らされる。
知ったこっちゃない、アンタの責任で勝手に夜遊びして辛いのだ。
朝から不機嫌な人間と接触して、消耗する方の気にもなってくれ。
それでもまるで自分が不幸であるかのようにため息混じりに気持ち悪いだの言うので、「電車で寝たら?」と言ってみたら、さらに自分の不幸を強調するように「寝れないから」とニベもなく言われ、私はかなりカチンときたのである。
知るかよ、コンチクショーEE:AE473
実家に電話した。
あさって兄がフィアンセを連れて来るので、母にその連絡である。
しかし電話に出たのは、絶縁中の父であった。
「ぽ子です、お母さんお願いします。」
私は極力冷淡に聞こえるように言う。
父も返事すらせずにガシャッと受話器を投げ(そういう音がするのだ)、「おい、ぽ子から電話!」と母にぶっきらぼうに言う。
母は風呂にでも入っていたようで、やがて「後でかけなおすって。」とだけ言って、私の返事も聞かずに一方的に切れた。
私だって喋りたくなかったんだ、っつのコンチクショー。
携帯買ってくれよ、もう。
折り返しの電話はすぐにかかってきた。
母は「何ですか?」と言った。
このように私達親子は電話では敬語で話すのだが、それがまた冷たい響きをまとう。
しかしいつもなら母は、いきなり「何ですか?」などとは言わない。
これも機嫌の悪い証拠である。
私は「あさっては4時で。」と用件を手短かに伝えたが、ちょっと気になったので「お父さん、何か機嫌悪いねぇ。」と言ってみた。
すると母はフフフ、と含み笑いをしたので、どうやらケンカ中だという事が察せられた。
もしかしたら火種は私の電話だったかもしれないが。
家庭と言うものは気遣いがない分、八つ当たりの宝庫である。
たまたま今日は重なったから被害の分だけ書いたが、私も虫の居所が悪い時の遠慮のなさは酷い。
家族と言えどもうちょっと気を使えや、と思う反面、家族だからこそ裸になれるということでもあるのだ。
難しいが、大らかに受け止め自制心を持つ。
人間の真価が問われる場所である。
「家庭」。