人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

訪問者

二日酔いだ。

こんな日に、車検の車引き取りがあるなんて。

もう着替えるのも顔を洗うのも面倒臭い。

あぁ、日にち変えるか勝手に持っていくかしてくれよ・・・。

 

11時に電話が来た。「今から引き取りに伺います。」

観念して着替え、着てみたら変な服だったがもうどうでもいい、彼らの仕事は「車」だ、「人」ではない。私は車を取り次ぐだけの空気である。

顔を洗い、お金を準備し、ボーッとして彼らを待った。

鍵とお金を渡すだけだ。サッサと終わってくれ。

 

鍵とお金を渡すだけ、と油断していたが、それだけでは済まなかった。

まずインターホンが鳴り、ドアを開けるためいつものサンダルを履こうと思ったら、中に乾いた猫じゃらしが入っていた・・・。

もうどうこうしている暇はないので、そのまま履いた。渡すものだけ渡せばいいのだ。

 

ところが彼らは、ハンコを要求した。

そのために私は、ハンコを取りにリビングに戻らなくてはならなくなった。

足の裏には猫じゃらしの感覚がある。これはどうしたらいいのか。

考える暇もなかったので普通に脱いで部屋に上がったら、それは足の裏に一緒にくっついてきたのだ。

これを途中で落とす訳にはいかない。

足の裏に猫じゃらしがついていることなど悟られぬよう、足の指で挟んでリビングまで持っていく。

 

足の裏をはたきつつ、ハンコを出してまた玄関に戻る。

すると今度は、ハンコを押すために、玄関に入ってきたのだ。想定外。

彼は玄関にしゃがみ込み、書類を床に置いて「こことここにですね」か何か言って捺印を要求した。

2ヶ所、押した。

じゃあこれにて終了、と彼は立ち上がり、その時に軽く右手を振った。

猫の毛の塊が綿ぼこりになってくっついてる(笑)

それが簡単には取れず、最後にはええいこの野郎、みたいにブンブン振って、やっと取れたのだった。

 

ハハハッ。

 

日曜日にまたお客さんが来るので、忘れずに玄関は掃除しなくては。