1年B組の日野と言います。
地味に目立たないように生きて来たつもりが、面倒なことになってきちゃったんだ。
父親の代は威勢が良かった頃もあったらしいけど、年上の米沢にシメられてから、舎弟に成り下がってしまった。
だから自分には、もう何もない。
ただ顔色を窺って、大人しくやり過ごしていたんだ。
学校内は、平和だった。
それがここへきて、隣の組の北村が、米沢の息子に歯向かうようになってきたのだ。
北村は、校則で禁止されているバタフライナイフをいつも持ち歩いているんだ。それで米沢は怒っている。
米沢もナイフはたくさん持っているけど、家に置いてあるんだ。だから、北村のナイフが目障りで仕方がない。北村も、それが分かっていて持ってくるんだ。
とうとう米沢がキレて「てめえ、いい加減にしねぇとぶっとばずぞ!」と凄んだ。
北村はビビッて、カッターナイフをポイッと投げて来た。
どこに刺さるか分かったもんじゃない。ヘタクソなんだよ。
カッターだって、刺さればケガをする。
そこで米沢は、北村と仲のいい中田なんかにも、協力を頼んだりした。
もともと北村と仲の悪かった韓田も、米沢に加勢した。
怒り狂った北村は、こう言い放った。
「この野郎、やるなら俺は、日野をバタフライナイフでメッタ刺しにしてやるぞ!!」
えっ!?
なんで自分!?
確かに時々焼きそばパンを米沢に買って行ったり、その代わりに米沢に守ってもらったりしたことはある。
でもなんで、やるなら米沢とやらないんだよEE:AE5B1
すると米沢が凄む。
「やれるもんならやってみろ。そうなる前に、俺のエクスカリバーでお前など一瞬で消し去ってやるぜ。」
ちょっと待って、ありがたいけど、あんまり北村を刺激しないでEE:AE5B1
「日野を血祭りにしてやる~~~。」
ヒェェェェェ~~~~~~~EE:AEB30血祭りですってEE:AEB30
「心配するな、日野。お前はこの大事なエクスカリバーをしっかり磨いておくんだ!」
そ、そんな、北村さんがガン見してますがな、ここで磨くんですかEE:AEB64
「俺たちの絆がどれだけ強いか、見せしめてやるんだ。だってお前、ペーパーナイフしか持ってないでしょ??」
その通りですけどね、あぁ、めっちゃ北村、睨んでるやん、こええ。
こうして北村のバタフライナイフの刃先は、今こっちに向いている。
誰か、北村と米沢の仲裁に入ってくれないか。
生きた心地がしないんすけど。