ギタリスト宅で頂いたイワシの煮たのに触発されて、我が家の晩御飯にもイワシを煮てみたのだ。
酸っぱいのが好きなので酢を入れるレシピを見ながら作ったのだが、果たしてそれは美味しかったのか。私には分からない。
なぜなら、まだ食べていないからである。
イワシを煮こんでいる間に冷蔵庫を開けると、大きな魚が入っているのが目についた。
忘れてた、こんなん買ったっけEE:AE5B1
こんなに大きくても、毎日何度も見ると見えなくなるものである。部屋も散らかる訳だ。
賞味期限は月末まであったが、これは早いところ食べてしまわないと、「存在するのに見えていない」という都市伝説的な魚になってしまう。
今夜のおかずは、ダンナに選んでもらおう。
しかしね・・・、結構究極だよ、この選択・・・。
モノはなんと、「くさや」であった。
チョー臭いということで有名な魚だが、私はまだそれを食べたことも嗅いだこともない。
半額になっていたので、怖いもの見たさに買ってしまったのであった。
干物だ。
干物が臭いって、どういうことか?全く想像しえない臭いである。
しかも「強烈に臭い」というところが、私の好奇心をくすぐった。
全く想像しえない臭いが強烈に臭う、という事態は、そうそう起こることではない。
そしてその事態は昨夜、ダンナの選択によって遂に起こったのである。
それは真空パックになっていた。まず切って出すところからだ。
パックに切り込みを入れ、袋を開ける。つい鼻をそこに近づけてしまった。
く・・・。
臭いEE:AEB64
ウエッ、という臭さだ。何日も歯を磨いていない人の口臭みたいな。
早速ダンナのところに持っていって、嗅がせてみる。同じく「ウッ」と言って退く。
こんなものが食べられるのだろうか。これが口に入ることがイメージできん。
焼いた。臭い(笑)
ダンナは「豚骨ラーメンの臭いがする。御天の臭いだ。」と言った。確かに。
御天の臭さは好きなんだから、これはもしかして望みが出て来たかもしれない。豚骨魚だと思えばイケるんじゃないか。
焼きあがったくさやは、それ自体はプンプン臭うものではなかった。
しかしひとたび口の中に入れると、すえた臭いが湧き上がってくる。臭い靴下とか、洗濯してない柔道着とか、どうも体臭がらみの悪臭に近い。
しかも焼き過ぎたようで硬いEE:AE5B1木の箸が負けそうなぐらいだ。
冷める程に硬くなり、ついには手で割いて食べる羽目になった。
そうして手でくさやを割きながら食べていたのだが、人間の習性って凄い。これも慣れるものだ。
「何とか食べられる」という状態からやがて「まぁこういうのが好きな人がいることは理解できる」となり、そのうち「酒に合うかも」となってから、「悪くないかも」にまでなったのだ。
噛む程に味が出てくるビーフジャーキーのようなものである。そう思えば悪くない。
また買ってくることがあるとは思えないが、何かの縁で再びテーブルに上がることがあったら、それはそれで普通に食べることができそうだ。ただし、日本酒込みで。
新鮮な体験であった。
世界一臭いというシュールストレミングも、意外とイケるのかもしれない。
ちょっと気になる。