人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

コタツから世界へ旅立つ夜

私達が昔見た大聖堂は跡形もなくなっており、そこには近代的な美術館を思わせるような建物が建っていた。

グーグルのストリートビューで世界旅行ができる、という話を知り、私は早速出かけてみたのだった。

ひとりでやってみたら、上手く狙った場所に降りれなかったり進めなかったりでストレスもあり、後日ダンナと出かけてきたのだが、そうか。

新婚旅行で行ったクライストチャーチは大地震に見舞われ、町のシンボルであった大聖堂はもう取り壊されてしまったということであった。

その代わり、他の場所はほとんど変わったようには見受けられなかった。

大自然の美しい国である。開発さえされなければ、変わりようがないのである。

27年前に辿ったルートをなぞっていく。

建物内に入れないのが残念であった。

「どこでも行けるよ。行きたいところない??」

「えー、じゃあピラミッド!!」

「どこにあるんだ??ピラミッドの住所知ってる??」

「住所!?位置検索に入れればダイレクトに飛べないか??」

「エ・・・、ジ・・・プ・・・、ト・・・、」

「ピ・・・。」

「エジプト、ピザハット、ピザハットが出た(笑)」

「エジプトにピザハットあんの!?」

「ピ、ラ、ミ、ッド、来た!行こう!」

おお~~、ピラミッドの前に出た。

その前の通りを、あたかも歩いているように進むことができる。

視界も360度。

これは凄い!

車は入れないのか、馬やラクダがたくさんいる。

「スフィンクスも見よう。」

ところがどの角度からも、ちょうどうまいこと塀に隠れて肝心なところが見えない。

「見えるように撮っておけよEE:AE4E5

「見たい方は現地へ、ってことですかね。」

マンガの無料お試しと同じである。いいところで取り上げられてしまう。

無料で旅をしているのだ、仕方がない。次はどこへ行く?

「マチュピチュ。」

「住所は?(笑)」

「位置検索で直接入れるから!」

「日本のマチュピチュと間違えないように。」

マチュピチュもまた、素晴らしかった。

こんな山の中の孤立した場所に、ひとつの文明があったなんて不思議だ。

こんなところに生活があったなんて、当時誰も想像すらできなかったことだろう。

続いてイースター島、モンサンミッシェルなど有名な観光地を見て回り、ホワイトハウスに入ってみたりした。

逆に何もない場所にポッと行ってみたり(モンゴルには本当に何もなかった)、はたまた木村拓哉の自宅前に行ってみたり。

世界は広い。

きりがないのでこの辺にしよう、とやっとマウスを置いたのはどれくらい経った頃か。

あぁまた開けてはいけない扉を開けてしまった。

恐らくこれは、酔っぱらいの喜ぶ「どこでもドア」になることだろう。週末の夜更かしと酒量がまた増える。

世界旅行のチケットを手に入れた。

ぽ子は今週末も旅に出るよ。