皿を洗っていたら、目の前のカウンターにエルが上ってきたのだ。
お腹がすいているらしい。エルのテーブルは、食洗器の上である。
ハイハイ、ちょっと待っ・・・、ん??
あ~~EE:AE5B1
耳が・・・、
ボロボロだよEE:AE5B1
このところどうも耳のあたりがかゆいようで、足で掻きむしっているらしい。耳の毛がハゲてきていた。
手で掻いてやると気持ち良さそうに目を閉じて、足をバタつかせたりする。
耳が何かなっている。
それは感じていたのだが、何しろもっと優先度の高いのが2匹、その2匹にやるべき宿題がそれぞれふたつ、こっちが先だと思っていたのだった。
具体的には2匹の採尿と検査である。
ところが何度も書いているように、4猫いると、「この子の」と限定して採取することはかなり難しくなってくるのだ。
そこへきて色々と忙しくなってしまったため、全て後回しにしてしまっていたのであった。
エルの耳が痒いらしいのは分かった。
緊急性はないから、2匹のオシッコのうちひとつでも採れたらそれを持って行って検査に出し、ついでにエルも診て貰おう。
しかしオシッコはなかなか採れなかった。
そりゃそうだ、これまで採れなかったものが、同じ忙しさの中でそうそう採れるようにはならないのである。
で、気が付いたらエルは耳を掻き壊し、あちこちから出血していたのである。
これはもう放置できない。
2猫の宿題をやらずに病院に行くのは気が引けたが、そんなことを言っている場合ではない。
エル用のキャリーをクローゼットから出してくる。
結局病院では、ダニや寄生虫はいないということしか分からなかったのだ。
猫の皮膚病は、原因を限定するのがとても難しいとのこと。
あれこれ可能性を疑って、ひとつずつ消していくしかない。
さしあたって次に潰す可能性は食べ物のアレルギーとなり、「エルには決まったものしか食べさせない」という新たな宿題が課されたのであった。
診察を終えて、エルの入ったキャリーを助手席に乗せ、それをシートベルトで固定する。
目の前の道路はそこそこ車通りがあるが、できれば右折したいものだ。
カーッ、またこんなところに宅急便の車停まって見づらいのーEE:AE5B1
少しずつ車を前に出し、左右を窺う。
歩道の往来もそこそこあるので、速やかに出たいものである。
しかしなかなか車は切れそうにない。
そんな中、左を確認した時に、私は思わず「はぁ!?」と声を上げてしまった。見えるはずのないものが、そこに見えたからである。
エルがダッシュボードの上に前足を置いて立ち、私と一緒に道路を見ていたのだ。
な、ちょ、どうして、てかこれヤバいでしょ、キャリーに戻さないとEE:AE5B1
とは言っても、車はもう歩道をふさぐほど前に出ており、曲がるのを待つだけの状態になっている。
しかも、右からこちらに入ろうと、ウィンカーを出した車がやって来た。
そうだそうだ、いっそバックして病院に戻って、エルをキャリーに入れるところからやり直そう。
しかしバックミラーを見ると、さっき入って来た車が駐車場に停められず、真後ろに立ちはだかっていた。
進みも戻りもできんEE:AE5B1
さ、左折だ、左折で出るしかない。でもこのままエルを助手席に野放しにはできんEE:AE5B1
・・・という私の心境が伝わった訳ではなかろうが、私の膠着状態を見て、入ろうとしていた車は諦めて行ってしまった。
ここでまた車の行き気が盛んになったので、どええええええーい!!とその隙にエルを丸めてキャリーに突っ込んだ。
入ったEE:AEB64
マジで焦った~~~EE:AEB30
ブレーキの下になんか入られたら、大変なことになるところであった。
もとい。
もう右折は諦めて、左折でさっさと帰ろう。
目の前の道路は駅前から延びているバス通りで、なかなか車は途切れない。
右見て。
左見て。
悪いがもう、歩行者を見る余裕はない。見たところでこの状態では前にも後ろにも出れないのである。邪魔な宅急便を恨んでくれ。
右見て。
左見・・・、ああEE:AEB2F
助手席のエルはちょうどキャリーから出てくるところであった。
そして私の膝に前足を乗せ、こちらを見た。
絶対にあってはいけないシュチュエーションである。その禁断故に可愛いと思う気持ちもひとしおだったが、ブルンブルン、もう右も左も歩行者もあったもんじゃない。
慌ててエルをキャリーに押し込んだ。
な、どうして・・・。
私は再び目線を左右に配りながら考えた。
ちゃんと閉まってなかったのか??
いや、最後はそこのところを気を付けたはずである。
チラリ。
エルのキャリーを見る。
ニャーニャー鳴きながら、出口を探すように頭を上部に押し付けている。
キャリーは小さな布製のものだ。エルの頭の部分が盛り上がって見える。
やがて、ファスナーの端の部分が開いてきて、エルの頭がはみ出してきた。
頭でこじ開けてたんかいEE:AE5B1
ファスナーは2つついており、その二つが接している部分を「頭圧」で押し開けていたのであった。
「ここを押せば開く」と学習したようなので、2つのファスナーの接点を変えてみた。
エルはそれに気づかずに同じ場所を執拗に押している。
これで大丈夫だろう。
エルは鳴いている。
すまんの。
家に帰ったらオヤツを、・・・あぁ、これももうダメなのねEE:AE4E6
次は2週間後だ。
トラブルならせめて「想定内」であって欲しい。