駅前でラーメンを食べ、スタジオへ。
ライブ当日になっていたが、一応3時間とってあったのだ。
この3時間は果たして長いのか短いのか。
スタジオSのピアノはアップライトの生ピなので、シンセと両方使う場合、シンセを横置きにしなてはならない。
私の目は楽譜とピアノとシンセの3ヶ所を行ったり来たりする。
良く「目玉のリレー」などと言って目玉を左右へ走らせたりしたものだが、両目玉を外側に向けることは不可能であった。
どうでもいい話になると、ダンナは泥酔すると若干両目が外側に向く。
どこを見ているのか分からず、見た目にも怖い。
曲が終わった時のベーシスト氏の表情で、曲の完成度はおよそ分かる。
ギリギリであろうとまぁいい、という範囲なら、ニッコニコ笑って「まぁいいんじゃない!?」と嬉しそうでもある。もちろんこの笑いには「妥協」や「諦め」も含まれているだろう。
曲が終わっても彼が黙って目を合わせてくれない時は、NGだ。妥協も諦めも含められないほど深刻ということである。
実は2回目のリハでは、彼は非常に寡黙であった。「ご機嫌悪かったのかなぁ?」などと思っていたが、悪いのはてめぇの演奏である(笑)
ところが3回目の練習では来るなりニコニコで、「うんっ!いいよいいよっ!もうあんま難しく考えないで楽しくやろっ!!」と激変していたので驚いたものだ。
そこまでの心境にに至るにはそれなりの道のりがあったようだが、この日の練習は「もうジャンジャンやっちゃってEE:AE5BE」ぐらいのノリで、笑いが止まらなかったのであった。
そして当日リハでは、「A Day In The Life」の最後のキメ音をバーンと叩き出すと・・・、黙っているのである。ヤバい、何が悪かったか。いや悪いっちゅーか、そもそもこの曲をやろうというのがどだい無理な話だったのである、言いだしっぺのバカヤロー、自分だ、お願い、何か言うか笑うかしてEE:AE5B1
「も、もう1回やろうかEE:AE5B1」沈黙に耐えられずに言うと、ここでやっと口を開いたベーシスト氏、間奏部分のシンセからピアノの切り替えが上手くいっていないことを指摘、すみません、両方一緒に弾けないので、ピアノの音減らしましたEE:AEB64
今度はシンセの音を減らしてピアノの音を優先して弾いてみる。
笑ったEE:AEB64良かった、修正できて良かった、というか笑ってくれて良かったEE:AE5B1
ぶっちゃけ曲の完成度より、ベーシスト氏のリアクションの方が私には深刻な問題なのである。
結局練習時間を1時間残してスタジオを出、本番まで飲んで待った。
ベーシスト氏が写真つきでFBにUPしたその酒宴の様子に、「緊張感溢れてますね」というコメントが入り、爆笑。かくいう彼らも、緊張感溢れるバンドライフを送っている。
開演1時間前。
「じゃ、そろそろ行きますか。」
私達は諦めたように、会場へ向かった。