人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

母がくれたもの

実家の母は、時々物をくれる。

多くは食べ物だ。

自分が食べないもの、余っているものなど。

貰い物が多い。特にお菓子。

先日貰ったのは、昆布であった。ダシ昆布。

それは開けすらしていない包装されたままの状態で、まるでお土産か何かのようであった。

ダシ昆布など乾き物だ。取っておけばいいものを、と言うと、「この人、毎年くれるのよ。ぜんぜん使わないのに・・・。」とのこと。

確かに私も滅多に使わないが(味噌汁はダシの素だ)、全然ってことはないだろうよ。

本当にこの人は料理が嫌いになってしまったねぇ・・・、などと思いつつ、有難く貰って帰ってきたのだった。

大きな昆布であった。

それから半年も経った頃だろうか。

母を買い物に連れて行ったのだが、帰りに家まで送ると、玄関に人が座り込んでいた。

それを見て母は「忘れてた!」と飛んで行き、ペコペコと頭を下げる。忘れてたんかい。

その人は母の友達で、いるはずの母がいなくて途方に暮れて座り込んでいたのであった。

ところで私は玄関に座り込んでいる老女を見て、その不思議な光景につい笑いが込み上げてしまったが、その人が手に持っているものを見て危うく爆笑しそうになった。

あの昆布の包みである。大きさも包装紙も全く一緒。

あぁこの昆布も私のところに来るのだろうか。

母がいらないと言ったものを母のために持ってきている母の友達。

ごめん、なんでこんなにおかしいんだろう(笑)その昆布、ちょうだい。

最近は柿を貰うことが多い。

先日実家に行ったら、テーブルの皿に柿が4つ、入っていた。

それを見た母は、「アンタ、柿もってく??」と聞いた。

別に柿などどうでも良かったが、要はいらないのだろう。貰っていくことにした。

かといって腐らせる役目はしたくないので、2個。

これはダンナが剥いて食べた。

次に会った時には、貸していたタッパーを返してもらったのだ。

洗って紙袋に入っていたが、家に帰って出してみたら、柿が2個入っていた。

残りの柿の疑いである。

そして昨日、また母を買い物に連れて行った。

「柿、おいしかったよ。」と一応言っておく。

母は、「その柿ね、お向かいさん家で取れたヤツ頂いたのよ。今年はたくさんなったって。」

私はお向かいさんの顔を思い浮かべた。

人の良さそうな笑顔。

小柄なご夫婦。

もうおじいちゃん、おばあちゃんという歳になっているだろう。

その家と実家の間に車を停め、母を下ろして私は帰った。

今度はお菓子の入った紙袋をもらったのだ。

およそ母が食べるとは思えないメルティキッス☆などという洒落たチョコレートを取り出すと、下からまた柿が2個、出てきたので面食らった。

これ・・・。

実家を通過しているだけで、母は全く食べていないとみた。

お向かいさんの笑顔が浮かんだ。