人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

ガルーダ1の需要

今回のツアーで一緒になったメンバーで、この日が初めてという人はいない。みんな少しは喋った事のある人だ。

何度かリハと飲みもあったので、あまり親しくなかった人でもそこそこの下地はできていた。

それでもこの旅で新たな一面を見ることができ、みんなもっともっと好きになったのだEE:AEACD

大分用に英語名をつけてあったので、その名前でお話しする。

印象的だったのは、ギターボーカルのポールだ。

実は私は飛行機が異常に怖く、席についてからビビッていた。

ところが隣のポールは約20年ぶりの飛行機に大はしゃぎしており(最年長が飛行機で大はしゃぎである)、ビビる私の気を紛らせてくれたのだ。

要は「別に飛行機なんか、そんなこんなで怖くなんかない」というようなことを言うのだが、その理屈がムチャクチャで笑いっぱなしだ。

後にライブ前にやはりビビッて大人しくなっていた時にも、気遣って「飲んじゃえよー、おごってやるぞー」などと言いにきた。

ポールは面白いだけの人ではない。実はとっても優しい人でもあるのだ。

しかしいくらポールが面白くて優しくても、怖いものは怖い。

今回の飛行機忍耐作戦は、「寝不足→爆睡」を狙っていた。

二日前からかなりキツい寝不足に追い込んであったが、そんなもの、飛行機の揺れの前には全く効果はなかった。

怖くて眠れないのである。

一応安定剤も飲んだが、精神は安定などしなかった。

これにより、「恐怖」に加えて「眠いのに眠れない」という苦痛が加わった。

これなら飲んで酔うなりゲームするなりして気をそらす方法を考えるべきであった。

そして途中、気流の関係だか何だかで、ひどく揺れた。

そりゃもう、ビックリするほどひどく揺れた。

こっちゃ、普通に揺れても怖いのである。ひどく揺れたりしたのでパニック寸前だ。

気を確かに保つために、何かを集中して唱えようと思いつき、私はオペラ・アンジェリカを小声で歌った(笑)確かあれは、神様アーメン的な曲だったはずだ。

おい機長、大丈夫かEE:AE4E5私は飛行機に乗る前のダンナとの会話を思い出す。

「もし離陸してから機長がウッとかいって気を失って・・・、」

「??」

「副機長みたいなのもたまたまウッ、自分もだめス、ってことも、長い歴史の中で一度ぐらいはないとは限らないよね??」

「ぶッ。」ダンナはすでに、私がまたしょうもないことを言わんとしている事を予感する。

「そうなると『お客様の中でパイロットの方はいらっしゃいませんか?』ってなるよね??」

「なるかもね(笑)」

「でもパイロットがいない場合、次に飛行機を操縦できる可能性があるとしたら・・・、」

「したら??」

「というか、もう操縦できる人はいないから、少しでも可能性がある人を探すとしたら・・・、」

「誰よ?!」

「『お客様の中で、エースコンバットをやったことがある方は・・・』でしょう。私の出番です。」

「着陸できんの!?」

「やったことアルヨEE:AE4F9滑走路に激突して大破したよEE:AE595

「・・・・・・その前に『お客様の中にお医者様は』でしょう!機長と副機長助けてよ!」

確かに(笑)

私達のツアーメンバーの中に看護婦さんもいたのだ。彼女の方が需要があるだろう。

そんなことを思い出しながら、私は戦闘機を着陸させる場面を思い出していた。

一番近い空港に着くまでに、ゲームのコントローラーと操縦機器との関係をはっきりさせなくてはならない。

そのためには色んなレバーを押したり引いたりして試さなくてはならない。こんな揺れでは済まんだろうな。

猫がお腹を上にして寝てる姿を「ヘソ天」などと言うらしいが、乗客全員ヘソ天にしてやるわ。

5分ぐらいだっただろうか、ひどい揺れは。

途中で「心配ありません!」というような放送が入ったらしいが、アンジェリカを歌っていたので全然気がつかなかった。

長い5分であった。

決めた。

帰りは飲む。

酔っ払ってしまえば、もっとラクに過ごせるはずだ。

まぁこれにて最初の難関は越えた。

次の難関は、ライブである・・・。