ギリギリまでホテルにいたので、帰りは空港に直行することになってしまった。
ハイ、全て私のせいです。飲み過ぎて二日酔い、チェックアウト10分前まで寝てたのだEE:AE4E6たこ焼きぐらい、食べたかったものである。
空港に着いても、猶予は15分しかなかった。
しかしかっ込めば、ビール1杯ぐらいなら飲める。
うう、とても「ビール」という感じではないが、これから恐怖の飛行機である。
麻薬代わりに1杯飲っておいた方がいいのではないか。
あともう5分あったら、飲んでいたと思う。
二日酔いで「かっ込む」気力がなかったのである・・・。
前回の札幌旅では、クラシックチャンネルのワルツを聴いてしのいだのだった。
あのズンチャッチャが心地よく眠りにいざなってくれ、また恐怖心を和らげ、行きも帰りも気がついたら着いていたという理想的なパターンである。
今回もそれを狙ったのだが、クラシックチャンネルはクラシックギター特集になっており、音不足だ。
あんな華奢な音では、ジェット音に負ける。恐怖心に負けてしまうのである。
しかし二日酔いでグッタリだ、これなら簡単に寝れるだろう。
あまり音楽に気を取られたくなかったので、子供向けのチャンネルで「ハイホー、ハイホー」などを聴いていたのだ。
二日酔いだ。ボーッとしている。
ボーッとしておこう。
ハイホー。
そして心地良い睡魔が・・・、
なんか今回、いやに揺れますねEE:AE5B1
こんなバカでかい物体が、力任せで宙に浮いているのである。ガタガタいわれると恐ろしい。
気にしない~♪気にしない~♪気にしない~♪♪一休さんのオープニングテーマはお子ちゃまチャンネルでは流れなかったが、平行して脳内で聞こえてくる。
気になります、気になります、気になりますEE:AEB64
一度「怖い」と認知してしまうと、もう地獄だ。ってか、なんでこんな揺れんの、この飛行機は。
揺れるばかりではない、左右に旋回するのも伝わってきて、私にとっては墜落寸前の遭難機である。
大阪から羽田までは約1時間。
こうなったら短くはないぞ。あぁ、酒売ってくれないか。
ガタン!!「うわっ!」
思わず飛び起きたところにちょうど飲み物を出していたスチュワーデス(とは今は言わないのか?)さんが。
「す、すみません、起こしてしまいましたようで・・・。」向こうも驚いていたが、私はその時本気で「もう怖くて仕方がありません!!」と訴えようか迷った。
優しそうなこのお姉さんに、母親の懐を感じてしまったのだ。泣きながらその胸に飛び込みたい。
しかしギリギリの理性が勝った。私が何かを言い淀んでいるのを見て取った彼女は、こちらを見てじっと待っている。
「・・・オレンジジュースください・・・。」
酒はない。
私はこのジュース1杯で、羽田まで頑張らなくてはならないのである。
「まもなく当飛行機は着陸態勢に入ります。」とか何とか、機長の田中が言った。
のん気に着陸態勢に入ったことを知らせているぐらいだ、どうやらこの飛行機に異変はないようである。
お前の腕に異変があるんじゃないか?
そして着陸態勢に入り、私は確信した。
ヘタクソ!!
あんまり揺れるので操縦が下手なのではないかとちょっと思いはしたが、気流の関係だとかで仕方がなく揺れることもあるのだろうと考えるようにしていたのである。
機長のヘタクソなどと毒づいたら、バチが当たりそうで怖かったのだ。
しかし着陸態勢に入り、少しずつ高度を落としていく。
まさに「落ちる」のである、グワンと。
もっとこう、優しく、滑らかに、できないものか?いいや、できるはずである、こんなに落ちることはない。なくもないが、そんなにないっ!
「う・・・。」ダンナが酔って無口になってきた。
ホレミロ!ウチのダンナが酔ったわよ!!
もうすぐ着くだろう、遠慮なく言う、このヘタクソめ!!
もう「助けて!」と言うのが早いか、到着が早いかの勝負である。
ガリッと大きな音を立てて、飛行機は着陸した。
あぁ、拷問であった。こんなに怖い思いをしたのは・・・、そんなに昔ではないか(笑)
つまり、しっかり飲んでから乗りなさいということなのだろう。
教訓。
どんなに時間がなくても、どんなに二日酔いでも、どんなに自信があっても、どんな時間帯でも、
飛行機に乗る時は、お酒を飲みましょう。