人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

予定はない予定

う~む、如何ともし難い。

私は寝室のベッドの上に座って、タンスと向かい合っていた。

このタンスは引き出しの他に、小さな両開きの扉もついている。

その扉を開け放ち、私は頭を悩ませていた。

中は仕切りで4つに分かれており、大きく分けて、シーツエリア、軍手エリア、旅行グッズエリア、ぽ子のお出かけグッズエリアとなっている。

ちょっと前に出掛けにハンカチを探したら、1つもなかったのである。

そんな馬鹿な、捨てるほどあったはずだ。捨てられなくて困っていたはずである。

良く使うのが3、4枚あったはずだが、どうやら全部、どこかのバッグとどこかのポケットに入れっぱなしのようだ。

だいたい出かけたところで、ハンカチなどトイレを出る時ぐらいにしか使わないのである。

そしてトイレには、紙なり風圧なり、乾かせるようなものが置いてあるのだ。濡れた手でバッグをまさぐるより、はるかにそちらの方がいい。

結局使わなかったハンカチは入れっぱなし、それが習慣になり、「ハンカチは基本どこかに入れっぱなし」という状態であった。

気まぐれで洗濯して常に1枚は在庫があるようになってはいたのだが、とうとうなくなったということか。

それ自体は、まぁいい。

捨てるほどあったハンカチは、どこに行ったのか??

この扉の中のどこかにあるはずである。

ここは何年か前に、収納ケースを入れて徹底的に整理したのだ。

しかし、後から後から「類似品」が押し込まれていき、上っ面しか見えない状態である。

時間がないのであの時はハンカチを諦めたが、今こうして、再び向き合っているのであった。

如何ともし難かった。どれも減らせず、動かせない。

右半分はほぼデッドストック状態である。

替えのシーツはお客様用で、お客様を呼ぶ予定は皆無である。

なぜならここ数年で、我が家は猫屋敷と化した。

壁は剥がれ、粗相の後が残り、客間であった部屋の角2ヶ所は猫のトイレとなってる。

人を呼べる状態じゃないのである。

そして呼べる状態になる見通しも経っていない。このシーツは、「使う予定はないが捨てる訳にもいかない」という厄介な代物なのである。

他にも数枚、家族用のシーツが入っているが、私は布団干しと同時にシーツも洗うので、スペアを使うことがない。

「使う予定はないが、捨てるのも惜しい」というシーツは、こうして何年も動かぬまま入っていた。

軍手も「そんなにしょっちゅう使う予定もないが、ないと非常に困る」というアイテムで、こんなに数があっても仕方がないのだが、捨てることができない。

その隣には、義父のパジャマだ。先に書いた理由で、当分泊まることはないと思われるが、やはり勝手に捨てる訳にはいかないのであった。

左半分の旅行グッズとは、旅行の際、着替えや小物を入れるための袋やポーチ、風呂敷類だ。

こんなにいらないが、どれもほぼ等しく出番があったのだ。全員がレギュラーメンバーなのである。

そしてその下がブラックホール化していた。

ティアラとコサージュをどかして収納ケースを引っ張り出すと、アクセサリーの箱とふくさ2枚の下から、やっとハンカチが出てきた。20枚。

あぁ、これもこんなにいらないのは明らかなのだが、きれいなので捨てられなかったのだ。どうしたらいいのか。

その隣のケースには、トレンカとストッキングが丸めてギュウギュウに詰まっていた。もちろん捨てられない。

つまり、ここにあるものは減らせないのである。

ならば、しょっちゅう使わないものは、別の場所に移してしまうのはどうか。

左にグイッと向くと、そこには収納ラックがあった。

そういえば、ここはあまりいじってない気がする。どうせろくでもないものが入れっぱなしになっているのだろう。こっちを整理していけば、収納スペースを確保できるぞ。

開ける。

まずダンナのネクタイが大量に入っていて嫌な予感がしたが、他に入っていたのは未使用のタオルと、私のハンカチ数十枚であった・・・。

私は肩肘をついてライイングブッダのようにベッドに横になり、開け放したタンスを見た。

如何ともし難い。

まったくやれる事を思いつかない。

この作業には第1回目として30分を予定していたが、見ただけで終わってしまった。

厳密に言うと第1回目は2009年の4月にやっているが、どうにもならなくて今日になってしまったということである。

こうなったら第3回目は4年後、オリンピックと同じ間隔でいこうかと思う。