人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

ハイトンヌ

まだまだ夜は終わらなかったのである。

珍しく早めの時間にPを後にして、私達はラーメン屋に向かった。

3時のオヤツにワインとオープンサンドを食べてから、何も食べていなかったのである。酒もしこたま飲んで、どえらいラーメンっ腹であった。

シメのラーメンである、山盛りのネギをトッピングして遠慮なくニンニクを放り込む。

あっ、こしょうも入れれば良かった。しかし唐辛子はぬかりなく。

ラーメン屋を出るとタクシー乗り場に向かったが、両替をしたかったので駅前のスーパーを目指す。

歩いていると、コンビニの前に座り込んで飲んでいる人達が。

まぁこの辺の若いモンだろう、私も酒飲みじゃ、静かにやってくれれば気にもならん、ん??

「あ!!」

バンド・ペガサスのメンバーであった(笑)言い方を変えれば、昼のリハーサルをやったスタジオのオーナー達である。何やっとるんじゃい!

「あれからずっと飲んでるんですか!?」

私としては「何でこんなところで飲んでるんですか!?」というところだが、じゃあビリヤードでもやりませんかね?ということになった。

ところで私は、ビリヤードぐらいやったことはあるが、もの凄く下手である。だいたい、似合わんだろうが。

しかももうすでに相当飲んでヘロヘロであった。どうするかと考えたが、まぁビリヤードというよりも、交流である。昼にスタジオの皿を一枚割ってるし、ここはいけるところまでいこう。

ペガサスにいざなわれ、地下の洒落たバーに入る。

ペガサスのメンバーはビリヤードには慣れているのか、ルールはどうするのだなんの、と話している。

ナインボール、ではない何とかいうルールに決まり(ナインボールしか聞いたことがないのである)、ダンナとドラムのタケダさんとの対決になった。

ところで我らが一中バンドのドラムもタケダさんだが、念のため、こちらは「おっぱい」だとか「熟女」だとか言わないペガサスのタケダさんである。

何だか何をやってるのか良く分からなかったので、こっちはダーツである。

中心めがけて投げればいいだけかと思いきや、こちらもいろんなルールがあった。

ところでビリヤードにしろダーツにしろ、ペガサスの皆さんは上手いので、私はペガサスの紅一点みなみちゃんとのダーツである。

まぁどっこいどっこいか(笑)

しかし、どこの細いところは高得点だのと言われても、そもそも狙えないのである。当たったとこ勝負なのだ。つまり運。

この日は運が良かったのかどうか、実は酔っ払って結果を覚えていない(笑)まぁ勝ってれば覚えてるだろうなぁ。

しかしそればかりではない。次の勝負があまりにも強烈だったのである。

ビリヤードで負けてカウンターに戻ってきたダンナに、今度はダーツを勧める。

小心者である、みなみちゃんとならやってもいい、と言って再び立ち上がった。

ところがペガサスチームから出てきたのは、またしても大ボスのタケダさんである(笑)

タケダさんは非常に温厚で、いつも物静かに「いいですよ、いいですよ」「大丈夫です、気にしないでください」と言っている印象があるが、どうやらちょっとSの気があるのか、赤子の手をひねるのを楽しんでいるようである。

あの笑顔に潜む少年のような残虐性が、むしろ私には面白かった。いけ、ダンナよ!!

先に持ち点をゼロにした方が勝ち、というルールであった。

なのでいくらどんどん持ち点を減らすことができても、最後にピッタリの点数が当てられないと何度も繰り返すことになるのである。

まぁどのルールでもこの際勝率は変わらないだろう(笑)運良く当てるのみだ。

予想通り、タケダさんは効率良く点数を減らしていく。

そしてあっという間に「あと1投が上手く当たれば」というリーチ状態になってしまった。

誰もがタケダさんの勝利を疑わなかったが、ここでダンナに神が降りた。

「ここの細いところに続けて当てれば勝てますよ」と言われ、狙ったのか知らないが、なんと続けて全部そこに当たってしまったのである。大逆転であった。

聞けばこういうのを「ハイトン」というらしく、お店の方には「ロートンでも難しいのに、凄いですね」と言っていただいた。いや、凄いは凄いが、「凄い運」である(笑)

楽しいところだったが、もう飲み続けでグロッキーである。申し訳ないが、そこで帰らせてもらった。勝ち逃げである。

でも面白かったので、また一緒に遊んでもらいたいものだ。

「ビリヤード、練習しようね・・・。」

近所のボーリング場には「早朝ボーリング」という時間帯があり、安くプレイできるのだが、ビリヤードも安くなるのだろうか。あまり「早朝」という健康的な響きは似合わないが。

こうしてやっと、長い一日が終わったのである。