人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

『は?なんですか?』

私は小心者だ。

ビビリで人の顔色ばかりうかがって、いつもヘコヘコしている。

しかしだ、例外がある。

強気で冷徹にならなくてはならない場面があるのである。

対セールス戦だ。

とにかく小心者なので、顔を見てしまったらもうヘラヘラしてしまう。

そこで私は学んだ。

無駄な戦いに時間を費やさずに済むように、できるだけ速やかにお引き取りいただく術を。

「絶対にドアを開けてはいけない」、鉄則である。

今の家のインターフォンにはモニターがついているから、怪しい人はより分かりやすくなった。

首からナントカ証みたいなのを提げて書類を抱えている人は、非常に危険度が高い。

敵の方も「ドアを開けさせればもう落ちる」という勢いで、あの手この手で誘い込んでくる。

「商品の説明だけさせてください」なんていうのは、全然可愛い方だ。興味がないというと意外とあっさり引っ込んでくれる場合が多い。

この頃は「挨拶にきました」と「工事の説明に参りました」が強い。

その入り方だと、ついドアを開けてしまいそうになるのが落とし穴である。

しかし子ヤギちゃんよ、開けてはならぬ。

「どちらさまですか?」「何の工事ですか?」と聞くと、モゴモゴ言って結局何がしかのセールスである事を白状する。

どこどこ社の誰々と申します、と名乗る人ほど、外壁の工事をしたがる事が分かってきた。

もう誰も信じてはいけない、基本全員セールスだと思った方が間違いは少ないのである。

先日の訪問者はかなりのツワモノであった。

どこどこ社の誰々と申します、と言って黙っているので、私はできるだけ冷たく「何ですか」と返した。

すると、やはり工事の説明をしたいのでお願いします、と言う。

何の工事ですかと聞くと、それを説明しますのでと言って引かないのである。

めんどうなので「今忙しいので」と言うと、「ではまた改めてお伺いします。」と帰っていった。

またお伺いします。

本当に、また来た。

また来て同じように「工事の説明を」と言うので、今度は「どこでやるんですか?」と聞くと初めてたじろいで、「いえその、どこと言うか、この先で、私どもが今外壁の工事をしている現場がありまして、近くなのでいかがかと思いまして・・・。」と、正体を現した。

そこからは「我が家に外壁の工事の予定はない」と何度も繰り返すのだが、無料でできる範囲もあってだとか、説明をするだけなので、だとか言って向こうも負けずに返してくる。

「予定もないのに聞いても仕方がないので!!」と言うとやっと首をかしげて諦めてくれたが、あれが最近の最強である。

まぁ彼らも商売だ、しつこくならなくてはいけないのだろうが、この程度ならまだ腹は立たない。むしろ「あんた、よく頑張った」ぐらいなすがすがしい気持ちだ。

しかし腹が立つのは新聞の勧誘だ。

誤解のないように、もちろん全てがそうではない。たまにいるのだ、腹が立つのが。

出るなり「お宅、何新聞とってます??」とくる。

なんでそんな事を答えにゃならんのだ、誰とも分からん奴に。

「どちらさまですか?」と聞くと、××新聞ですが、というが、それは我が家でとってる新聞である。

この場合、こちらの新聞事情は言わずに「新聞を変える気はないので」で通すが、どういう者がどういう目的で、という事を言わずにこちらの情報を引き出そうなどと、失礼な話だ。

もちろんこんな人ばかりではない。

中にはきちんと頭をさげて、「それではパンフレットだけお入れしますので、よろしかったらご覧ください。」と帰る人もいる。そういう時は私もパンフレットを見るようにする。

しかし、ほとんどのケースが必要ないものだ。そして必要なら、自分から出向いていく。

だから、できるだけ最短で気持ち良くお帰りいただきたいのである、私としては。

ところで、安心してニコニコお迎えしている人が、ひとりだけいる。

新聞の集金に来るお兄さんだ。

今日は初めて見る顔だったが、ニコニコと契約を6ヶ月更新したら、「気持ちいいですね」と洗剤6個、液体洗剤2個、トイレットペーパー6ロール置いていってくれた。

ムフフ、気持ちいいですねEE:AEACD

しかし、セールスマンとの攻防はまだまだ続くのだろう。

私だって好き好んで無愛想にしている訳じゃないのだ。

仲良くするからしつこくしないでちょうだい。