人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ドキュンが地域を守る

朝だ。

私は朝一番の仕事、「ブログの下書き」をしていた。目覚ましである。楽しいことを先に持ってこないと、睡魔に負けてしまうのだ。

その時、ピンポーン♪とインターフォンが鳴った。

我が家のインターフォンは音量の設定が大きくなっているようで、突然鳴るとビックリする。たいがい突然なので、その度に1センチ程飛び上がるのが常だ。今朝は膝に猫が乗っていたので、猫もビックリである。

大きな音で呼び出されるからか、反射的にすぐ動いてしまう。返事をしようとモニター覗くと、あれ??背中を向けて去っていく人が見える。ちょっEE:AE5B1諦めるの早過ぎじゃないかEE:AE5B1

呆気にとられてそのままモニターを見ていると、姿は見えないが、次々に近所のインターフォンを押している模様。あちこちでピンポーンと立て続けに聞こえてくる。

イタズラ??でも子供ではない。

私は呼び出されたのではないのだろうか??用はないのか??用もないのにインターフォンを押すのは、イタズラじゃないか??でも大の大人が・・・。しかも逃げるようでもなく、淡々とご近所のインターフォンを鳴らしている。

まぁもうウチの前にはいないのだ。我が家には用がないという事だろう。

訳が分からないが、出なくても問題はなさそうである。

・・・と思いかけたのだが、それにしても「なぜ」という疑問が残る。

そこでふと思い出したのが、泥棒の下見である。

留守になる時間帯をあらかじめ調べるために、業者を装ってインターフォンを鳴らすというものだ。

怪しい人にはこちらから声をかけると抑止力になると聞いた事がある。

どれ、ひとつ、リアクションを見てみようじゃないか。

ドアを開けてみると、そこには女性がふたりいた。

一人はご近所のインターフォンの前で立って待っており、もうひとりはグルッと回って通りの方へ出て行くところであった。

その年配の女性は、無愛想にチラリを私の事を見たが、まるでインターフォンを押した事など忘れているように、シレッとして去っていった。はぁ??

この時点で私はかなり腹が立ってきた。用はあるのかないのか??もうひとりがとどまっているところを見ると、イタズラではなさそうなのである。

なので私は、その一人が前を通るのを待った。

まだ相手の目的が分からないのだ、ナメられたらあかん。

私はポケットに手を突っ込み、アゴをしゃくれて首を傾げてみた。

穿いていたのは、娘ぶー子が高校の時にパジャマ代わりにしていたダボダボのスウェットである。ドキュン度に不足はない。ついでに言うとスッピンで、眉毛はほとんどない。

やがて諦めたように戻ってきたその女性は、野暮ったい格好の地味な中年女性であった。私と目が合うとすぐさまそらしたが、明らかにやっていることが怪しいのだ。私は「あなたに聞きたいんですがね」という顔で、見つめる。根負けしたように、女性は軽く頭を下げた。

「今、鳴らしましたよね??」不快感7:困惑3という感じに聞く。

「は??いいえ・・・。」女性は首を振る。

「今、あちこち鳴らしてませんでした??」

「私じゃないです。」

そりゃそうかもしれんが。

「あっち行ったあの人、鳴らしてたじゃないですか。何の用ですか。」

「えっと、あの、今キャンペーンをやってまして・・・。」

「どちらさまですか。」

「・・・です・・・。」

彼女は、大手掃除用具リース会社の名前を言った。

「なんで鳴らして回ってるんですか。鳴らすだけ鳴らして、何をしてるんですか。」

そう言ってる間にも、ご近所の足の悪いおじいちゃんが、不審そうにドアを開けてキョロキョロしている。

「あの・・・、それは、あの人の癖でして・・・。」癖。

申し訳ありません、と低姿勢なのでそこまでにしたが、それにしてもおかしな感じである。

狭山ヶ丘から来たというが、なんでわざわざ県をまたがってここに、しかも徒歩。

見た感じも鞄ひとつで、セールスとか仕事とかの匂いを感じさせるものがない。

そもそももう一人の、インターフォンを鳴らして回っていた人は何だ?受け子ならぬ押し子か?変なカップリングである。

キツいババァの役をやってちょっと自分でも恥ずかしいが、少なくともこの地域の防犯意識が高いことが伝わってくれたのではないかと思いたい。

それにしても、何だったんだ??

泥棒にしろ宗教の勧誘にしろ、ハッキリして欲しいものだ。