ホームレスに対して持つ感情は、我々のように安定した生活をしているものにはあまりいいものではないだろう。
汚い、だらしがない、人生の落伍者、そういったネガティブなもの。
彼らはなぜそんな生活をしているのか?
ではない。
なぜそんな生活をしなくてはならなくなったのか。
著者はホームレスに聞き込みをしていき、彼らの生活の実態を掴む。
そしてその中から15人の転落人生が、ここに載せられたのである。
その全員が、以前はちゃんとした勤めを持ち、真面目に働いていた人達であった。
むしろ会社の社長だった人、一流企業で活躍していた人が多く、皆バブルの煽りでこのような末路を辿っていたのである。
簡単に言えばリストラに合い、不景気で人手が余っているのでその後は職につけず、収入をなくし、家をなくし、住所をなくす。
そうなると一層就職は難しくなる。
死に物狂いでバイトでも何でもすればいいのに、と思っていたが、40を過ぎると非常に厳しいようである。
帯に書いてあるように、これは他人事ではない。
「人間なんて驚くほど簡単にみっともなくなっていくんだ。」
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「今日、ホームレスになった」 増田明利
彩図社 ¥550