バン、という音で目が覚めた。
目の前のテレビは消え、猫用のウォーターファウンテンのモーター音が消えた。
ああ?やるのか?今日はEE:AE4E5
計画停電は1週間前の16日に一度あっただけで、やるだのやらないだの言いながらそれっきりであった。
ぬかった、何の備えもない。
夕方の4時。
まだ外は明るいが、曇っているので部屋の奥は薄暗くなり始めていた。
明るいうちにやれることを・・・、電気ダメなのかEE:AEB64
今日の明るい家事計画は、たまりにたまったアイロンがけと掃除機からスタートの予定で、嫌でも取りかかれるように、リビングのど真ん中に掃除機を横たわらせておいた。
何時までなんだ??確か長くて3時間程度だとか??
くそー、台無しである。寝ていたが。
寒いじゃねーかEE:AEB64
前回は事前に備えていたので、長風呂効果が時間いっぱい効いていたが、節電期なのである、気がついたら寒い。
まず私は寝室に行ってTシャツの上にロンTを2枚着込み、その上にまたTシャツを着て、最後にパーカーをかぶった。
下はスパッツにスウェットだ。
これで何とか3時間頑張ろう。
で、明るいうちにできること、その中でも優先順位の高いものは、晩御飯の下ごしらえであった。
停電が終わってから作り出すんじゃ、遅い。
キッチンに行ったが、ここは奥まっていて暗かった。
しかし少しでも調理を進めておきたかったので、アロマを焚いた。
柔らかいアロマの灯りとラベンダーオイルの香り。包丁の叩く音だけが聞こえる。
おお、何かいい雰囲気である。
そして冷蔵庫からベーコンを出そうとして思い出した。
ダメダメッ開けちゃEE:AEAD7冷気が逃げてしまう。
調理はここまでだ。
じゃあ何をするか。
不思議なもので、地味で静かな事がしたくなる。
カード類を整理して新しいケースに割り振り、いらない紙でメモを作った・・・、地味だ(笑)
しかし何とも楽しい時間である。
懐中電灯のスペアの電池がないので、ギリギリまで外の光だけを頼りに、ひたすら紙にカッターを入れる。
6時半頃に「そろそろ限界かな」と周りを見渡すと、黒猫の大五郎の顔が暗くて真っ黒になっており、ただの黒いかたまりになっていて大爆笑だ。
・・・笑いのハードルも低くなるのは、文明の利器をなくして全てが原点に向かっているからなのだろうか。
いよいよ懐中電灯をつけた。
ならば今度はシャッターもカーテンも閉めて、室内の保温に転換だ。
窓を開けて外を見ると、すぐ先のマンションには明かりがついていた。
管轄が違うだけで、この差なのである。
ここから先は文明人、ここからこっちは原始人、と東電の気まぐれでこんな事が起こるのだ。
どうせだから、外に出てみることにした。
前回「星がきれいだった」という話を良く聞いたのだ。
私も見てみたい。
懐中電灯を持って外に出て、私はまるで魔法にかけられたような不思議な気持ちになった。
隣も、向かいも、上も、普通に電気がついているのである。
私はこっぱずかしい懐中電灯を慌てて隠し、家に戻った。
しかしやはり電気がつかない。
ウチだけ停電しているのだEE:AEB64
「ちょっとぶー子ッ、電気つかないよね??」
ぶー子の部屋には友達が来ていたから、電話で確かめる。
やはりつかない、と言ったが、我が家だけ停電の刑を受けていることを話したら、「普通にブレーカー落ちただけなんじゃねー!?」と言って笑い出した。
原因は分からないが、ブレーカーが落ちていただけであったEE:AEB64
あのレバーをひとつ上に上げるだけで、暖房も照明もつくのである。
手もかじかんでここからがいよいよ正念場、と思っていたところだった。
アホだ、勝手に正念場にEE:AEB64
しかし私は暗い部屋で静かにメモを作りながら、いい事を思いついたのだ。
この世界を忘れてはいけない。
当たり前のように便利な生活をしているが、それも電気あってのものであり、今クソミソに叩かれている原発のお陰なのである。
別に原発を肯定も否定もしないが、電気のある生活の有難み、被災地で暮らしている人々への思いを風化させてはいけないと思ったのだ。
年に4回、つまり1シーズンに1度、電気を使わない日を設けようと思う。
さすがに1日では長くて嫌気がさしてしまうだろうから、夜の6時から12時あたり。
節電ぐらいしかできなくて歯がゆい思いをしているが、自分にもできる形をひとつ見つけた気がした。