一時期ネットゲームにハマッた時期があり、読みたいと思っていた本だ。
古本屋で安く買えるまで待っていたのだ(笑)
著者が、「我こそは廃人」という人と会って話を聞き、それぞれの体験をまとめたものだ。
一つ一つの話は短いが、ネットゲームに引きずり込まれていく様はどれも似ていて恐ろしい。
「こういう人なら大丈夫」というものはないのである。
子供からゲーム漬けの人も、スポーツマンも、30過ぎてゲームをやった人も、ハマる時はハマるのだ。
バーチャルの世界で、もう一人の自分を作り出す。
強くなりたい、
モテたい、
助けたい、
助けられたい。
彼らは時を立つのも忘れ、何十時間でもコントローラーを離さない。
中国だか韓国では、ネットカフェで「ゲームをやり過ぎて」死んだ人がいるらしい。
私がそこまでハマらなかったのは何でだろうかと考えた。
それでも一時期は、毎晩のように2時3時まで、週末なら夜が明けるまでやっていたことがある。
それは純粋に楽しかったからだが、そこがポイントである。
ネットゲームの特徴は、ゲームを通して他人と関わる事である。
自分の理想であるキャラクターに、新しい人間関係が築かれていく。
一緒に戦っていくうちに、友情や、どうかすると恋愛感情が生まれたりする。
「この人のために」という状態は、「今、抜ける訳にはいかない」という使命感や、「一緒に頑張っていく」という団結力を生む。
また「強くならなくては」というプライドや、「守ってもらえる」という優越感が、現実世界を忘れさせるのだ。
私には家族があり、ひとりでネットゲームに没頭できる環境ではなかった。
幸いダンナもゲーマーだったので彼も引きずり込んだが、そんな訳で、あくまでもリアルはリアル、バーチャルはバーチャルであり、かりそめの使命感や優越感は必要なかったのである。
むしろ時には重荷であった。
なので最終的にはいわゆる「リア友」、つまり現実世界での知り合い以外とはあまり関わらないようになってしまったのだ。
それでもネットゲームから離れる事は、非常に難しかった。
たまたま年末忙しく、ログインできなかったのがきっかけである。
キャラは残っているのだ、やろうと思えばいつでもできる、そう言いきかせて距離を置いているところだ。
足を洗えたら、もうネットゲームはやらないつもりでいる。
話がそれてしまったが、この本は、「その世界」を知らない人には驚きの事例がたくさん載っている。
また、ネット先進国・韓国の実情なども興味深いが、「警告」にまで至らない単なる読み物的なポジションであり、面白いがそこまで、というところである。
読みやすいので、週刊誌感覚でサラッとどうぞ。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「ネトゲ廃人」芦崎 治
リーダーズノート株式会社
¥1300(税別)