人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ジャパンミートで花開く

乾杯は、日付が変わる12時を回っていた。

ダンナは残業、帰りの電車は30分止まる、結果、こんなに遅くなってしまったのだ。

「じゃ、一週間お疲れ様という事で。」

テーブルの大皿には、7種類もの刺身が所狭しと盛り付けられていた。

なんの祝賀かという感じだが、やられてしまったのである、ジャパンミートに。

昨夜は「サムゲタン」という鶏肉の鍋にする予定であった。

風邪っぴきで調理が面倒だったのだ。

ぶっ込むだけで簡単、そして薬膳もどきの栄養タップリおかゆでもあるこの韓国料理、買うのは鶏肉だけで済みそうだったし、ちょうど良かったのである。

ところで「サムゲタン作るの~!?凄い!」と思った方、私を殴っていいです。

このサムゲタンは簡単なニセモノでありまして、入っているのは鶏肉とニラとニンニクとしょうが、そして唐辛子に米だけである。

病院の帰りに、ジャパンミートに寄る。

激安スーパーで大好きなのだが、ここは我が家からは会社と反対方向にあるので、なかなか行く機会がない。

病院から近かったので、久しぶりに行ってみたのだ。

激安スーパーだ。鶏肉だけなら500円もしないで納まるだろう。

4千円であった。

鶏肉ではない。

両手一杯のレジ袋の中身がである。

最初は豆腐だ。

知ってる人は知ってると思うが、「男前豆腐店」というところの面白い豆腐のシリーズが、50円で売っていたのである。

すぐに食いついて4種類買った。

4個ではない。

3個で1連になっているものもあったのだ、4種類。

それでもたったの200円。

ここで私の財布が、パチンコのチューリップ(20年前が最後だが、まだそういうものはあるのか??)がパカッと開いてしまった。

刺身なんか、普段買ってる店の半額程だ。

最初はつまみに少し、と思っていたが、どれもこれも食べたくて、もう刺身パーティーにしようと決めてしまったのだ。

こうなったら後はなし崩しだ。

安ければポンポン、カゴに入れる。

この店は安いのだ。

ポンポン、カゴに入る。

ジュース、ラーメン、冷麵、つまみ。

普段見慣れないものも、つい手に取ってしまう。

ハーブソルト、ハーブオイル。

風邪っぴきだ、刺身ぐらいがサッパリしていいと思っていたが、食べてみたら刺身は全然サッパリしていない事が分かった。

こんな生臭いものばかり大量にあっても、物事にはバランスというものがあるのだ。

結局半分ほど残ってしまった。

今夜残りを食べる予定だが、ジャパンミートの刺身の鮮度を、証明してみせようじゃないか。

結果は明日。

おったのしみに~~EE:AEB5C

で、早く体を張って実験したいのだが、ダンナが和室の戸をピタッとしっかり閉めてから、まだ出てこないのである。

私が朝寝坊すると、ダンナはエルのご飯を持って起こしに来るのだが、今朝も10時頃に現れた。

エルはその気配にいち早く気付き、彼がドアを開ける前にパッと起き出して、ドアまで走る。

滅多に鳴かないエルだが、この時ばかりはギャオ~~と(天は二物を与えなかったのだ、エルはこんな声EE:AE4E6)言っては喉を鳴らす。

エルの歓迎を受けてダンナの目じりは下がり、ベッドの上でご飯を食べる彼女を愛しげに見つめている。

しかし食べ終わると布団のへりをガッガッと掘り、「入れて」と催促を始めた。

私はまだ寝ていたので、片手で布団を軽く持ち上げると、エルは中に入ってクルリと丸くなった。

その時、顎と右手を私の肩に乗せて目を閉じたのだ。たまらん。

たまらんのはダンナも同じだが、違う意味でのたまらんである。

「ちくしょ~~」

ダンナは高いキーで言い、起こすのは可哀相だから、とそのまま部屋を出て行ったのだった。

そして先ほど買い物から帰って恒例の昼寝祭りに入ろうという時に、ダンナはエルを和室に呼び込んだ。

いつもならリビングと自由に行き来できるように戸を少し開けていくのだが、今日は「閉めちゃえ」と言ってピッタリ閉めて消えた。

今頃至福の時を過ごしているのか。

今夜の酒宴のスタートは、大幅に遅くなるだろう。