人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

命名

「もう、名前どーすんの!?」

ここ2、3日繰り返されている質問、というか催促である。

ベックか大五郎か。

宙ぶらりんなままなので、このところ「チッタンコ」と呼んでいる。

小さいからチッタンコである。

「コイツ、深海魚みたいな顔だ~~!!」

テレビで深海魚が出てくると、娘ぶー子がまた変なことを言い出した。

変だが、何が変って、何となく頷けるところが変なのだ。

確かに深海魚みたいな顔である。

「ギョッタンコ。」

「チッタンギョ。」

真面目に考えなくてはならない時が来ているのに、しょうもない名前ばかりが浮かんでは消える。

「ぶー子、ちょっと聞いて。」

晩御飯を食べていると、ダンナが口を開いた。

「俺は正直、どっちの名前でもいいと思ってるけど、ラとミの名前はぶー子がつけたでしょ。」

エルと名付けたのはダンナである。

「だから今回はお母さんに・・・。」

意外とぶー子はあっさり了承した。

「じゃあベックね。」

しかし、そう言われると迷いが出てくるのが私である。

大五郎も、決して悪いと思っているわけではないのだ。

むしろ、良く雰囲気を掴んでいる愛嬌のある名前だと思う。

「じゃあ、次に猫が来たらその時はベックにするから、今回は大五郎にしよう。」

何だかあまのじゃくだが、決心できたんだから良しとしてくれ。

しかしちょっと言うと、実際に「ベック」と呼んでみたら「ベク」か「ベッ」になってしまい、あまり呼びやすくなかった事もある。

やっと名前が決まった。

しかし慣れてないのでついチッタンと呼んでしまう。

どうでもいい時は気まぐれで「ダイ」と呼んだりしていたのに、どこまでもひねくれているぽ子であった。

名前が決まるとぶー子が、「ダイちゃん、去勢手術するの?」と聞いた。

しますします、エルが妊娠しちゃうからね。

「ベックだらけになっちゃうよ。」とダンナが笑った。

「そしたら『大ベック郎』「中ベック郎』『小ベック郎』に・・・。」と私。

「いやいや、『中五郎』『小五郎』でしょう。」とぶー子。

エルが出産した暁には、また名付け問題が勃発しそうである。