人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

今回のチャンス

くそー、飲まなかったので良く眠れなかった、寝てやる、何度でも寝てやる、そう思って起きた朝。

寝不足、寝不足、と頭の中で駆け巡り、腹が立つやらウンザリするやらで何も手につかない。

とりあえず朝御飯を出すと(そう、今日も「出す」、つまり惣菜パンである)、ソファに座ってボケ~~~~ッとしていた。

やっとみんな出かけて行ったが、うーむ、どうやら眠くないのだ。

寝不足である、腹が立った、しかし別に今、眠くもないじゃないか。

ところがこの時間に眠くないなどという事は、長いことなかった事である。

何だか起きてるだけで素晴らしい事をした気分になり、もう午前中などどうでも良くなって来た。

ノルマ達成である、的な。

しかし、本当のノルマは別にあった。

娘ぶー子から、銀行に口座を作ってくるように頼まれていたのだ。

ここ数ヶ月、ぶー子の携帯の通話料は3万前後である。

決まった相手と長電話しているようだが、やっと何とかする気になったらしい。

通話用にウィルコムの携帯を買うらしいのだが、そのためには口座が必要だというのだ。

本当はもっと前からバイト料を振り込む口座が必要だったらしいのだが、案の定、面倒で延ばし延ばしにしているうちに、手渡しとなったらしい。

それにしても、通話料が跳ね上がってからもう数ヶ月経っているのだ。

長い夏休みだってあった。

それなのに今になって、私の午前中を無駄遣いさせるのだ。

腹も立ったが、人の金といえど通話料にサラサラと金が流れていくのは悔しい。

仕方なくひと肌脱ぐ事にしたのだ。

本当は昨日頼まれたのだが、週明けである。

起きる自信がなかった。

病院の予約をキャンセルしたのだ。

ぶー子の尻拭いなどには動けるはずもない。

幸い今日はなぜか眠くなかった。

寝る気は満々だったが、ノルマである。

10時になると私は駅前に自転車で向かった。

UFJ銀行だ。

詳しい場所が分からなかったが、何となく看板を見たような気はしていた。

UFJは確か青い看板である。

りそなの隣あたりで見たぞ。

みずほであった・・・・・。

オッチョコチョイなのは分かっているのだから、キッチリ調べてくるべきだったのだ。

しかし調べないのが、オッチョコチョイなのである。

ぐるっと回ったが、見当たらない。

そういえば、駅の反対側に青い看板の銀行があったはずだ。

電車を4本見送って、踏切をやっと渡る。

青い看板はすぐに見つかった。

みずほであった・・・。

なぜ線路を挟んでみずほが2軒・・・。

あぁもう、どこなのだ、UFJ。

面倒臭くなって、交番で聞いた。

聞かれたおまわりさんは「あーあー、そこそこ」と指をさしたが見当たらない。

「分かりません」「見えません」と言ってるのに、オッサンは「そこそこ」と言うばかりだ。

「そこ」じゃなくて、もっと具体的に言ってくれないかね、この道沿いの左側、とかカネヒロの向かい、とか。

というか、モロ近であった。

UFJの看板は赤だったのだ。

しかも苗字が「三菱」だったとは。

なんたるタイムロス。

まぁ家に帰っても何もやる気はなかったが。

「ご本人様の署名が必要なんです。」

しかもこのオチ。

仕方なく書類をもらって帰ったが、これを明日また持って行く羽目になりそうな予感である。

家に帰ると、一応ソファで目を閉じてみた。

みたがやはり眠れそうなかったので、アイロンをかけてみた。

こんな事なら朝からしっかり頑張るべきだった。

次のチャンスはいつになるだろうか。