人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

カエルの子はカエル、ぽ子の娘はぶー子である。

いい天気であった。

体調も比較的良く、布団なんか干してみた。

私が布団を干すという事は、非常に機嫌が良く、やる気に満ち溢れているという事を意味する。

家事の最上級郡に位置している「布団干し」である。

なので久しぶりに掃除やらなんやらに勤しみ、残った時間でゲームをやった。

充実した午前であった。

昼に携帯を見ると、着信があった。上司アンガである。

もしかしたら、これはもしかして。

「ぽ子さん、今日、お休みしますか?」

今週は仕事量が減って暇だと聞いていた。

やほ~~!!

サプライズな休日ほど嬉しいものはない。

あらかじめ決まった休みだったら、私はまた無駄に時間を過ごしていた事だろう。

家事ならやった。

ゲームぅ~~~♪♪

「ただいま。」

そこへ娘ぶー子、帰宅である。

3年生になってから授業数はグッ減り、ほとんど午前授業である。

とは言っても遊び呆けてなかなか帰って来ないので、このように昼に会えることは珍しい。

ちょうどいい、言っておきたいことがある。

「勉強、しないの?」

受験も終わり、もうこんな事をグタグタ言いたくないのだが、勉強しないのだ、彼女は。

実はあさって大学の登校日であり宿題が出ているのだが、やっている気配が全くない。

「へ~?あ~、今日やるよ。」

①うるさい。

②ゲームやろうと思ってた。

③勉強したくない。

恐らくこのあたりであろう。不機嫌そうに答えただけである。

「宿題、やってんの?」

「今日やるよ。」

つまり、やってないのである。

課題なら10日も前に来ているのに。

「間に合うの?」

「だってテキストひとつ来てないし。」

そうなのだ。

ふたつある課題のうち、ひとつ、テキストがまだ届いていないのだ。

学校に問い合わせたらそれは大学側も分かっているので、登校日には考慮しますとのことだった。

「学校もわかってるんでしょ?考慮するっつってんだからさ。」

もう「やらなくてもいい」ぐらいの解釈である。

しかしそこでちょうど、宅急便でテキストが届いた。

ヒッヒッヒ、届いちゃったよ、やんなよ、締め切りはあさってよ♪

ぶー子は3時までマンガを読み、「寝るわ。」と言ってリビングを出た。寝る?!

私はぶー子の部屋まで追いかけて行ったが、もう布団に入っていた。

「いつ宿題やんのよ?!」

「あ~、ちょっと寝てからやるよ。」

「何時まで寝るの!!」

「さあどうしようかな。」

「1時間ッ!!」

「5時まで寝るわ。」

「起きんの!?」

「起きるって。」

「起きたらすぐ宿題やんなさいよ!!見に来るからねッ。」

世話の焼けるやつである。

世話を焼くからいけないのだが、放っておくと本当にやらないのだ。

ぶー子がいなくなったので、私はゲームを始めた。

時間ならタップリある。

ゆっくりキャラクターのレベル上げをしよう。

時間を気にせずゲームができるって、何て喜び。

・・・寝る事にした。

地味なバトルを繰り返していたが、MPをタップリ残した状態のまま眠くなってしまったのだ。

まぁこの時間にエルと布団に入るのもまた、休日ならではの喜びである。

ダンナの「会社出たよ」のメールで目が覚めたのは6時半である。

うわっ、寝すぎた。ぶー子はどうしただろう?

やはり寝ていた。

とたんに私は自分の事は棚に上げ、ぶー子の部屋に入って「何やってやがる」と怒鳴り散らす。

私も寝過ごした事に気付くまでの、短期勝負だ。

「そんなヤツにはこれでも食らえだッ。」

私はぶー子に尻を向けたが、音を出す一瞬前に人間として、親としての恥じらいが芽生えたので、口で「プー。」と言った。

それを見たぶー子は「エア屁。」と冷たくつぶやいた。

あほ~、便秘気味なので出そうと思えばいくらでも出せたのだ。

それどころか制御できないほどであった。

実は宅急便が来た時に、泡食って立ち上がったためによろけてしりもちをつき、ゲームのコントローラーを「プー」というサウンドと共に尻で踏んづけて大爆笑だったのだ。

晩ご飯はキムチ鍋である。

切って入れるだけの「鍋」はグータラぽ子の救世主だ。

しかし「鍋」ときたら「酒」、明日は早いと言うのに飲み始めてしまった。

22時30分。

そしてぶー子はゲームをやっている。