人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

風、ナイス!!

「昨日初めて『エコ』ってボタン押してみたのよ~。」

エアコンのリモコンの話である。

仕事をしながら、向かいに座る奥様が言う。

「買ってから一度も押した事なかったんだけど、ついに昨日ね。」

そうなのだ。

コンポやビデオなどの機械類にとどまらず、たかだかエアコンのスイッチですら、訳のわからないものが増えてきた今日この頃である。

「で、どうエコでした??」

「それが、夜中に隣に寝てる娘見たら、汗だくだった(笑)」

もう押す事はないだろう。

うちにも意味の分からないボタンが、エアコンのリモコンにある。

「風ないス」というボタンだ。

意味が分からないから押した事がないが、ダンナ曰く「風が直接当たらないとか、体に優しいんじゃないか?」と。

しかしだ。やはり夜中に暑くなったそうだ。

それにしても「もう無理ッ」のようなこの「ス」とは一体??

「風ない」と「ナイス」を一体化したのではという説が有力だが、余計な遊び心を出したために、ぽ子には肝心な部分が伝わらなかった。

それを聞いていた上司アンガが続ける。

「うちのリモコンには『節約パワー』というのがあります。」

一同爆笑である。

何だか節約するために無駄なパワーを使いそうなボタンである。

「そういえば、ジャジャのところには凄い扇風機があるんだよね。」

奥様がジャジャマキに振る。

その一言で皆、去年のアホな一件を思い出す事になる。

去年ジャジャは扇風機を買った。

それが、エアコンが切れると自動的にスイッチが入る扇風機だと言う。

そりゃすげえ。

「あり得ない。」

「どう感知するんだ?」

「じゃあ仕事に来てる間は扇風機、回りっぱなしじゃないの?」

ジャジャマキは普段から、思い込みが激しくアホな間違いを良くするので、周りから散々突っ込まれた。

「でもだって、扇風機についてた紙に、そう書いてあったもん!!」

ジャジャはこの一点張りである。

「じゃあその紙を写メって送ってよ。」

翌朝、写メが送られてきた。

1年前の事でちゃんとした文面は忘れたが、何てことはない、つまり、「エアコンが切れてもタイマーを入れておけば扇風機がついて涼しいですよ」つまり単なるタイマー付きの扇風機であった。

ジャジャマキの欠点は、人の話に耳を貸さず、言われれば言われるほどムキになってはねつけるところである。

そのせいで、翌日余計に笑いものになったジャジャであった。

もうすぐ夏が終わる。

「エコ」も「風ないス」も「節約パワー」も、来年までお別れだ。

もしかしたら永遠にだが。