娘ぶー子がまだ幼い頃、「台所に春が来た」という絵本がうちにあった。
部屋の隅に保存していたジャガイモから芽がでてきたり、タマネギの先から緑の葉がでてきたり、そんな話である。
ところで、タワシから芽が出てきました。
タワシなんてあんまり使わなかったので、気がついたらこんな事になっていた。
何か野菜の種が入り込んでいたのだろうか。
このマヌケ具合が気に入ったので、勝手に取れるまでくっつけておこうと思う。
いや、徹底的に育てて、何の種だったか究明するか。
しかし、育てようと思うと育たないのが、ぽ子家の植物全般である。
このまま何となくタワシにくっつけておいた方が、結果的に育つのかもしれない。
何だかおもしろい事になってきたぞ。
このように、思いがけないところに思いがけないものが育っていた事はこれまでも時々あった。
全て私がズボラのグータラであるせいだが、以前、風呂場に大きなキノコが生えていたこともあった。
古い団地に住んでいた昔の事だが、シャンプーなどの小物を置くスタンドの影になっていて、全然気付かなかったのだ。
今でもそうだが、私は「モノをどけて掃除する」という事をしない。
それは大掃除というのだ。
で、毎年大掃除はしないので、モノがあると、その付近はちょっと恐ろしい事になるのだった。
キノコと言えば、つい1ヶ月ほど前にも、外に出しておいたデッキブラシに生えていた。
旅行から帰ると、留守番させられた猫達の無言の非難か、玄関がおしっこだらけであった。
なので帰るなり水をまいてデッキブラシでこするハメになったのだが、外でぶー子が「キノコが!!キノコが!!」と爆笑していた。
これはまだくっついている。
取ろうったって、誰がどうやって。
カビが生えるなんていうのは日常茶飯事で、事件にも話題にもなりはしないのだが、やはり昔住んでいたアパートで、大量にカビが発生した。
言い訳がましいが、そのアパートは東向きで、かなり湿気が強いアパートであった。
冬場になると結露で窓がグッショリ濡れたが、そのせいで、窓の回りの木の部分が黒くカビてしまった。
初めて焦ったのは引越し当日である。
荷物を運び出して部屋がガランとすると、俄然、汚い部分が浮き出てくるのだ。
私は焦った。
翌日に大家さんと業者が入り、敷金だか礼金だかのの清算をすることになっていたのだ。
焦った私は、カビた部分にカビキラーを吹き付けた。
カビキラー、最強である。
この評価は今も変わらないが、強すぎだ。
木の茶色まで漂白されてしまい、まだらになってしまった。
こんなんだったらカビさせておけば良かった。
結局敷金だか礼金だかは返って来ないで、逆にいくらか払った記憶がある。
それ以外もひどく汚く使っていたので、言われるがまま払ったはずだ。
次に住んだ団地では柱を切り落としたため、やはり高いお金を払って引越しをし、その次に住んだダンナの実家は、出るときに取り壊す事がわかっていたので真面目に掃除をしなかった。
今、念願のマイホームに住んでいるのだが、果たして私はちゃんとメンテナンスできているだろうか。
まずはキッチンのタワシに聞いて欲しい。
ところで「台所に春が来た」の絵本を読んでいた頃、我が家の台所は人参から花が咲いていた。
買ったまま放置していた人参だ。
やはり何もしない方が育つのかねぇ。