人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

制覇

会社のロッカーに雨ガッパを忘れて来ちゃったようで。

しょうがない、カッパ代わりに濡れてもいい服を厚着して行く。

冷たい。

しかし会社に雨ガッパはなかった。

家に帰ると壁に掛けてあった。

こんな事ばかりである。

さて、今日はついに新しいコードを弾く日だ。

昨日も今日も、弾き方を忘れ果てていたので、ネットでコード表を検索した。

それを印刷しようと思ったら、印刷中に紙をグシャグシャッとかんで、機械が止まってしまった。

うわやべー、と途中まで引っかかった紙を引っ張ったら、ビリッと破れて中にグシャグシャの部分が残ってしまった。

何だかとてつもなく悪い予感がしたので、そこで止めた。

なのでコードは、手描きでメモ帳に写すことになった。

Cのコードを書いただけで力尽きた事が分かってもらえると思う。

まぁ自分さえわかればいいのだ。この時点ではそれすら自信がなかったが。

この間ダンナから教えられた時には、どのコードもまともに鳴らなかった。

「爪が長い!!」と怒られたので、爪を切れば問題は解決すると思っていたのだが、そう甘くはなかった。

メモの横棒は弦を表していて、数字は押さえる指。

①が人差し指で、②が中指で③が薬指だ。見事にピアノと一つずつズレている。

これを見ながら番号の部分を押さえていくのだが、

鳴らない。

弦を押さえる際に、キッチリと力を入れて押さえないと、音が出ないのだ。

なのでつい、力が入る。

もちろん力勝負ではないのだが、人間、言う事を聞かないヤツには力でねじ伏せたくなるものなのだ。

指を寝かせたまま押さえると、力が入りにくい。

なので、上から直角に押さえるような感じが望ましいのだが、前回は爪が伸びていたので指が立たなかった。

しかし今回は、爪は短いのに指が立たないのだ。

だいたい、指の長さはそれぞれ違うのだ。

長~い中指の隣の2本はそれより短いし、小指なんてもっと短い上に非力だ。

薬指に力を入れれば人差し指の力が抜ける、人差し指に力を込めれば中指が寝ている。

しかし、何とかCは鳴った。小指は寝ていた。

明日から少しずつ起きてもらう。

問題は次のFとGだ。

何だってダンナはこんな嫌がらせのようなコードを選んだのだ。

もしかして私は凄くうまいのか?

彼は妬んで意地悪をしているのだろうか。

Fの図を見て頂くとわかると思うが、わかったらいいのだが、雑な図で申し訳ない。

一番左は数字ナシの長い縦丸だ。

実際は1弦と2弦と6弦に①となっていたが、そんな飛び飛びを1本の指で押さえるのは不可能だ。

ということは、ここは人差し指1本で全部押さえるという事になる。

このように1本で複数の弦を押さえる事を「セーハ」と言うらしいのだが、私は長い間これは、あまりに難しいので「制覇」だと思っていた。

音がやっと出て「制覇」、6本の弦を「制覇」である。

そして、ダンナが私を妬んで弾かせようと挑んでいるこのFというコードは、人差し指で、硬い1フレットを全部押さえた上、中指と薬指と小指でそれぞれ違う部分を1つずつ押さえるのだ。

私なら、やろうと思う前にこの説明で充分に無理だと悟る。

無理なのだ。

先にも書いたが、押さえるだけではダメなのだ。

キッチリ押さえないといけないのだ。

しかも、隣の弦に触れてはいけない。

その弦が振動できず、音が出なくなるからだ。

弦と弦の間隔は、7mmであった。ムカついたので今、計った。

ちなみに、これまで私が弾いてきたベースだと、間隔は14mmである。

力を入れて押された指先は、ブチュッとつぶれて広がることだろう。

矛盾しているじゃないか。

力を入れなきゃ音が鳴らないし、力を入れると指先が太くなって、隣の弦に触れてしまいそうなのだ。

その上、指の長さはそれぞれ違うし、指を寝かさないようにすると、他の指の力が抜ける。

問題はセーハだけではなかった。

次のGのコードは押さえる弦は3ヶ所だが、小指と薬指とが、ニューヨークとロザンゼルスほど離れているのだ。

何でこの指なのだ?

②が①じゃいけないのか??

不可能だ。

私はハッキリ悟った。

物理的に不可能なのだ。

私の指は、太くて短い。

これまで「おふくろさんの手」だとか「ドラえもんの手」だとか、散々な言われようだった。

おふくろさんやドラえもんは、ギターが弾けないのだ。

理由が今、分かった。

指に問題があったのだ。

私は先日のラーメンで池袋に行った時に、楽器屋の前に並んでいたギターを思い出した。

パステルカラーの、他のものに比べてひと回り小さなギター。

ダンナよ、おふくろさんにも弾かせてくれや。

ヤフオクとどっちが安いかねぇ♪

そういえば、リッケンバッカーが小さく見えるのは気のせいだろうか??