人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

噴射

花粉のヤツ、花粉のヤツ・・・(泣)

あいつら、まだ暴れていやがる。

お陰で鼻が詰まって、何度も夜中に目が覚めた。

口で呼吸をしているから、口の中は喉までカラッカラだ。

こんな事が許されるのか?

で、寝不足である。

で、二度寝である。

とは言っても鼻詰まりだ。

寝た気はしないがあっと言う間に昼になってしまった。

仕事に行かなくては。

私は花粉症なんですけど。

花粉症で寝不足なんですけど(泣)

中途半端な眠りで不愉快な気持ちのまま、支度を始める。

歯を磨きながら鏡を見ると、あちこちに歯磨き粉が飛んで汚れている。

これはあれだ。

先日、娘ぶー子の風呂上りと私の歯磨きがバッティングした。

彼女は今でも平気で一緒に風呂に入るぐらいだから、私になど構わず体を拭き、ボディの手入れを始めたが、こんな事を言い出した。

「今日は念入りに洗ったからね。膝とかかとの手入れもバッチシっ!!」

へ~、今時の高校生は、膝やかかとの手入れなんかするんだ。

膝の手入れなんて、生まれてこのかた、一度もした事がないよ。

「膝の手入れって、どうやるの?」

簡単だったら私もやってみよう。

ぽ子39歳、最後の30代である。膝が輝く時だ。

「まずあの緑のヤツでガーーーーッと膝をこすって、次には裏の黄色い面で・・・。」

ここで私はブブーーッと吹き出してしまった。

鏡を汚した歯磨き粉は、これである。

人間、口に何か入っている時に不意に笑うと、その中味を噴射してしまうようにできているのだ。

「で、黄色い面で仕上げに・・・あ?」

ぶー子、それは、そのクロスは、私が渋谷くんだりまで行って買ってきた風呂の水あか落としである。

声を上げて笑いたかったが、口の中はとろけた歯磨き粉の世界だ。

私は変な形で口を歪ませたまま、「へ、へ・・・。」と腹筋に力を入れていた。

「えっ、じゃあもしかして、一緒にかけてあったあのピンクのヘチマも・・・!?」

ぶー子、待って、それ以上言うな、ヘチマって、ヘチマって、ヘチマがピンクな訳ないじゃん!!

ぶー子はピンクのプラスチック専用の水あか落としでかかとをしごいていたらしいのだ。

せっかく珍しく洗面台の鏡を磨いたばかりだったのに、もう汚れてしまった。

もういいや、めんどくさい、鏡だけ3日前に戻ったのだ。

そうそう、こんな感じだった。いい汚れ具合だ。

このように、口の中に何かが入っている時に笑ってはいけないのだ。

しかし笑いの波は、不意に訪れるものである。

あの時は、テレビを見ながら晩ご飯を食べていたのだ。

テレビでは動物のおもしろ映像をやっていた。

油断した。

パンダの親子が写っている。

子パンダはまだほんの赤ちゃんで、母パンダの足元でデロ~~ンと横たわっている。

母パンダは壁に寄りかかってのんびりと笹の葉を食べていた。

静かに時が流れていたが、突然子パンダが「ふえくしゅ!!」とオヤジのようなでかいくしゃみをした。

まずそのくしゃみのかわいげのなさに笑いの波が押し寄せてきたが、間髪入れず母パンダが驚いて、でかい図体をビクゥッ!!と揺らすのである。

一瞬前まではのんびり笹を食んでいたのだ。

予想だにしない展開に私の口は間に合わず、ブフォッと食べていたものを吹き出してしまった。

子パンダ→母パンダ→ぽ子。

ふえくしゅ!!、ビクゥッ、ブフォッの3拍子である。

あれはないよ。

しかし、口から物が吹き出るのは、笑った時ばかりとは限らないのだ。

あれは・・・フフフ、もう今からおかしいんですけど、あれはダンナとラーメン食べに行った時のことで。

まぁね、ムセたんですよ、ダンナが。

誰だって経験あると思うが、食べてて変なところに入って、ゴホッていうあれなのだが、とにかく一瞬の出来事だった。

ダンナがゴホッとムセたと思ったら、間髪入れずに次の瞬間、ビシュッとダンナの口から長い麺が妖怪の攻撃のように飛び出し、丼のフチに引っかかったのだ。

ダンナはその後もゲホゲホとムセているのだが、私が横で大笑いしているのでつられて笑い出し、もうムセてるんだか笑ってるんだかわからない状態だった。

ところでついこの間気付いたのだが、この時期は、ヤバいと思ったらとりあえず口をあけなければいいと言う事がわかった。

花粉症で鼻が詰まっているので、口さえ閉じてしまえばどこからも出てくることはないのだ。

実はこの時期も何度もヤバい場面があったが、この詰まりっ鼻のお陰で噴射は免れた。

しかし、花粉症の終わる時期の見極めを間違えたら、鼻から噴射という事態になるので、そろそろ注意が必要である。