人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

平和

もう限界だ、木曜日。

月曜から今日まで、1日たりとも寝た気がしない。

や、寝てはいるんだろうけど、夜中に目が覚めたり寝入りばなに目が覚めたり、ああッ!!もういい加減スパッと寝たいのだ!!

2度寝の誘惑に心は揺れたが、バイエルが・・・。

眠いからと言ってサボッていては、永久にバイエルだ。

眠くても頑張って20分弾けば、英雄ポロネーズに1歩近づくのだ。

立派になったねぇ、ぽ子。

子供用のピアノ本を目当てに起きるぽ子であったが、眠くて何だかわからないうちに練習は終わってしまった。

どうも今日はたくさん練習したような、と思ったら、ぶー子が寝坊して起きてこなかったという事だった。

慌てて起こしに行くと、「布団をどけて毛布だけで寝たら、これがもう気持ち良くて。」と解説し、動く気配がない。

昨日までは早く起きて来たのだ。

ちょうど私がピアノを始めたタイミングで早起きするようになり、予定していた練習時間がとれなくて迷惑していたが、それも今日までか。

私の方が根気があることが証明された。

暖かくて気持ちの良い朝だ。

ぶー子も出掛けて、朝のゲームをやると、やはり眠くなってきた。

寝るか。ゲームとピアノのおいしいところはもう終わったし。

いやいや、せっかくバイエルで頑張って起きたのに、ここで寝たらクズ人生に転落だ。

確かに「英雄ポロネーズ」に小さく1歩近づいたが、いつかそれを弾くのがゴミ屋敷のだらしないゲーマーではどんなものか。

天気がいいので、庭の掃除をすることにした。

外に出て体を動かせば、目も覚めるだろう。

まともに庭に出るのは、冬に入る前に芝刈りをしていた頃が最後だ。

見ると落ち葉が隅に溜まっていて、緑の新しい雑草がちょこちょこ生え始めている。

どれ、と座り込み、ゴミ袋を横に置いて落ち葉を拾い始めた。

なんと、木の根元に作った元気勇気のお墓が、野良猫のトイレになっていた。

どうも何か臭い・・・と思いながら落ち葉を拾っていたが、よく見ると乾燥したうんこっこが、墓石代わりの猫やおうちのオブジェのまわりにたくさん落ちていた。

ひゃ~、ごめんね、元気勇気!!

私は猫が好きなので野良猫にも寛大だが、これには正直腹が立った。

しかしここはきっと、家が建つ前は彼らの土地だったのだろう。

彼らにしてみれば、トイレに住宅が建ってしまったのだ。

そこを仕方なく、やっとの思いで土の部分を見つけ出してトイレ化したのだ。そこが今度は墓地になった。

ウンコを憎んで猫を憎まず。

私は乾燥ウンコを枯葉と一緒に燃えるゴミにした。燃えるのだろうか。

まぁとにかくお墓はきれいになった。

時々庭に出ないとダメだな。

続いて今度は雑草抜きだ。

しゃがみこんだまま、雑草をプップッと抜いていく。

うららかな朝である。

ここは広い道路が遠いので、とても静かなところだ。

時々聞こえるのは、小鳥のさえずりだ。

暖かい。春が来たのだ。

その時思いがけずお尻がプーと鳴った。

平和である。

すっかり目は覚めた。

こうして今日も何とか充実した1日を送ることができた。

それにしても、憎いのは花粉である。

これさえなければ本当にいい1日であった。