前の記事にも書いたが、私と娘ぶー子の間に良く使われるフレーズで「涙の・・・」シリーズがある。
簡単に言うと「哀れな、可哀相な状態及び存在」なのだが、それだけでは充分に説明しきれていない。
例えば捨てられた子犬がいる。
昨日まで一緒に過ごした飼い主を思い、クーンクーンと泣いている。
これは「可哀相」ではあるが、「涙の・・」には当たらない。
例えばこの子犬の見た目が醜く、苛められていたのを遊んでもらっていたと思い込もうとしているとか、
捨てられた場所が廃墟だとか。
これが「涙の・・・」である。
しかし、可哀相具合が増えただけではないのだ。
人の良いばーさんがいる。
息子家族と住んでいるが、ご飯も一緒に食べてもらえない。
でもちょっとボケているためすぐに忘れてしまい、いつもニコニコしているのだ。
ここまではただの可哀相な話。
そのばーさんの靴下が、孫が小さい時にプレゼントしてくれたボロボロのクマの靴下だったり、ばーさんがウケ狙って作ったおはぎが、犬にあげられていただとか。
う~、来たねぇ。これは「涙の・・・。」だ。
ストーリーとは限らない。
お母さんが作ってくれた弁当が、転んだ拍子にカバンから飛び出てブチまけられること。及びその弁当。
じーさんが高校生の孫に作ったピカチュウの木箱。しかも似てない。
この場合「涙の・・・」は木箱だが、孫に喜ばれないとじーさんも「涙の・・・」になる。
車に轢かれた手編みのセーター。
「手作り」、「老人」、「食べ物」などが涙になりやすい傾向にある。
「ねぇちょっと、ぶー子もネタ出してよ、『涙の・・・』。」
「え~?じゃちょっと待って。」
ぶー子作・「涙の・・・」
ばあさんちにはピンクの歯磨きセットがある。
子供用の歯磨きセットだ。孫のために買った。
でもそれは厚いほこりを被っている。
なぜなら孫が来ないからなのだ。
ばあさんはそれでもまだこの歯磨きと一緒に孫を待っている・・・。
ぽ子「涙だねぇ・・・。」
ぶー子「実話だもんね。」
ぽ子「実話!?ひどい!!」
ぶー子「うちのばーちゃんちにあるんだよ、ほこりかぶった歯磨きが。」
ぽ子「それ、アンタのなの?!」
ぶー子「そうだよ。でも、歯を磨かないんだなぁ(笑)」
まちぼうけじゃなくて良かったが、歯ぐらい磨いて欲しいものだ。