相変わらずエルはガオンガオンと大声で鳴いているが、どうやら服を着せると少しおとなしくなる事は前に書いた。
そこで、たった2枚の服をシチュエーションに合わせて着まわしているが、いかんせん2枚しかないのだ。
見栄を張って「100均で売っていた300円の高級品」と書いたが、やはり100均は100均だ。
やっとブカブカだった服が体に合ってきたと思ったら・・・、
明らかに何かがおかしい。
服のサイズはちょうどいいのに、いやに肩の部分が下がっているのだ。
前は胸がまるまる出ている。
これで歩くとウナギイヌになってしまう。
こんな間抜けな姿である事に本人は気付かず、例のヘコヘコした歩き方で部屋を歩くのだ。不憫である。
しかし恐ろしい事に、動物の服など平気で4、5千円するのだ。
ちなみに私が自分の服を買うときの値段の上限は、1枚1500円である。
何とか安い値段でかわいい服をエルに買ってやれないだろうか。
ジャジャーン、ヤーフーオーク~!!・・・と、ドラえもん風に。
これまでもオークションには何度もお世話になってきた。
だいたい、欲しいものなんて中古か100均で充分なのだ。
私は世話の焼ける女だが、金はかからない女なのだ。
早速ヤフオクを開く。
ペット、猫、服。
やはり猫ときて服だとあまりないな。あっても高い。
犬用でいっか。う、ちょっと不憫。
こちらは数が多いとあって、値段も猫よりは安い。4、5百円ぐらいからか。
しかし400円の服を1枚買って送料や振込み手数料を払う事を考えると、どうも気が進まない。
買えば買うほど損をするような気がする。
もっとまとめてド~ンとないかな・・・っと。
あった。
15枚+おまけつき。
迷彩柄のダウンジャケットにTシャツ、ズボンにレインコートまである。おまけはリードと靴下だ。
「靴下・・・。」とダンナは絶句したが、私はダンナの金で買わせるつもりでいた。
だから私は必死になって靴下やレインコートの必要性を説き、この取り引きがどんなにお得なのか訴えた。
「うん」と言ってくれた訳ではないが、黙っていたのだから「うん」と同じだ。
私は早速入札体制に入る。
残り時間10時間、入札は1人、1000円。安い(泣)
自動延長はなしだ。
これは終了寸前で自分の出せるギリギリの額を入れよう。
ギリギリの額。
1500円だ。
あと3時間ほどに迫った時に、様子を見てみた。
なに?
1700円に値上がりしている。入札者がひとり増えていた。
バッカモン!!
まだまだ終了まで時間はあるのに、なんで値段をつり上げるのだ!!
100円単位で競りよってからに、アリのオークションかっつの!!
・・・なんちゃって・・・。1500円越えちゃったよ、どうしよう。
じゃ、2000円までは出す。
「は?!2000円!?」とダンナが不満そうに言った。
わかったよ、もうっ!!じゃあ半分私が出すよ、文句ないでしょッ。アリの家計であった。
その後見るともう1人入っていて、2000円を越えていた。
「3000円まで出す。」
ダメなら諦めればいいや、と言って始め、実際に諦めたことはあまりない。
サクラがいたら思うツボだ。
私がギャンブルをやらない理由はここにある。
時間まで動きは止まっていた。
最高額以外の人は諦めたのか。
フフン、油断せぇよ、最高額の君。ここに私が3000円用意して潜んでいるぞよ。
1回の入札でキメるつもりだ。
この1回が相手より上回ってなくてはいけない。
一体いくらで入れているのだ?
3000円、ケチでごめんよ、エル、犬用でごめんよ、エル。かあちゃん、頑張るよ。
残り時間が1分を切る。
私は「3000」と数字を入れ、あとボタンひとつで入札できるようにして時間を待つ。
15秒前、行け、ゴルァ!!
ハァハァ・・・。ハァハァ・・・。
勝った・・・。快感だ・・・。
これでエルに犬の靴下、履かせられる。
2710円で落札した。
1000円だったことを考えれば高いが、15枚もあるなら安いじゃないか。
家中の誰も喜んでくれなかったが、私は嬉しい。
そして、終了15秒前に勝利をかっさらった事も、嬉しかった(笑)
ギャンブルはやりませんが、オークションは止められませんなぁ~。