人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

オークション

相変わらずエルはガオンガオンと大声で鳴いているが、どうやら服を着せると少しおとなしくなる事は前に書いた。

そこで、たった2枚の服をシチュエーションに合わせて着まわしているが、いかんせん2枚しかないのだ。

見栄を張って「100均で売っていた300円の高級品」と書いたが、やはり100均は100均だ。

やっとブカブカだった服が体に合ってきたと思ったら・・・、

明らかに何かがおかしい。

服のサイズはちょうどいいのに、いやに肩の部分が下がっているのだ。

前は胸がまるまる出ている。

これで歩くとウナギイヌになってしまう。

こんな間抜けな姿である事に本人は気付かず、例のヘコヘコした歩き方で部屋を歩くのだ。不憫である。

しかし恐ろしい事に、動物の服など平気で4、5千円するのだ。

ちなみに私が自分の服を買うときの値段の上限は、1枚1500円である。

何とか安い値段でかわいい服をエルに買ってやれないだろうか。

ジャジャーン、ヤーフーオーク~!!・・・と、ドラえもん風に。

これまでもオークションには何度もお世話になってきた。

だいたい、欲しいものなんて中古か100均で充分なのだ。

私は世話の焼ける女だが、金はかからない女なのだ。

早速ヤフオクを開く。

ペット、猫、服。

やはり猫ときて服だとあまりないな。あっても高い。

犬用でいっか。う、ちょっと不憫。

こちらは数が多いとあって、値段も猫よりは安い。4、5百円ぐらいからか。

しかし400円の服を1枚買って送料や振込み手数料を払う事を考えると、どうも気が進まない。

買えば買うほど損をするような気がする。

もっとまとめてド~ンとないかな・・・っと。

あった。

15枚+おまけつき。

迷彩柄のダウンジャケットにTシャツ、ズボンにレインコートまである。おまけはリードと靴下だ。

「靴下・・・。」とダンナは絶句したが、私はダンナの金で買わせるつもりでいた。

だから私は必死になって靴下やレインコートの必要性を説き、この取り引きがどんなにお得なのか訴えた。

「うん」と言ってくれた訳ではないが、黙っていたのだから「うん」と同じだ。

私は早速入札体制に入る。

残り時間10時間、入札は1人、1000円。安い(泣)

自動延長はなしだ。

これは終了寸前で自分の出せるギリギリの額を入れよう。

ギリギリの額。

1500円だ。

あと3時間ほどに迫った時に、様子を見てみた。

なに?

1700円に値上がりしている。入札者がひとり増えていた。

バッカモン!!

まだまだ終了まで時間はあるのに、なんで値段をつり上げるのだ!!

100円単位で競りよってからに、アリのオークションかっつの!!

・・・なんちゃって・・・。1500円越えちゃったよ、どうしよう。

じゃ、2000円までは出す。

「は?!2000円!?」とダンナが不満そうに言った。

わかったよ、もうっ!!じゃあ半分私が出すよ、文句ないでしょッ。アリの家計であった。

その後見るともう1人入っていて、2000円を越えていた。

「3000円まで出す。」

ダメなら諦めればいいや、と言って始め、実際に諦めたことはあまりない。

サクラがいたら思うツボだ。

私がギャンブルをやらない理由はここにある。

時間まで動きは止まっていた。

最高額以外の人は諦めたのか。

フフン、油断せぇよ、最高額の君。ここに私が3000円用意して潜んでいるぞよ。

1回の入札でキメるつもりだ。

この1回が相手より上回ってなくてはいけない。

一体いくらで入れているのだ?

3000円、ケチでごめんよ、エル、犬用でごめんよ、エル。かあちゃん、頑張るよ。

残り時間が1分を切る。

私は「3000」と数字を入れ、あとボタンひとつで入札できるようにして時間を待つ。

15秒前、行け、ゴルァ!!

ハァハァ・・・。ハァハァ・・・。

勝った・・・。快感だ・・・。

これでエルに犬の靴下、履かせられる。

2710円で落札した。

1000円だったことを考えれば高いが、15枚もあるなら安いじゃないか。

家中の誰も喜んでくれなかったが、私は嬉しい。

そして、終了15秒前に勝利をかっさらった事も、嬉しかった(笑)

ギャンブルはやりませんが、オークションは止められませんなぁ~。