リハだ。10月のライブのためのリハ、2回目である。
時に私は、非常に緊張していた。
前回のリハで思うように歌えず、それがトラウマのようになっていたのだ。今回もちゃんと歌えなかったら、もう私はダメだ。そんなプレッシャーで、まるで本番さながらの緊張感であった。
「・・・ということで、スタジオに入る前に軽く酔っているのが理想なのですが。」
軽く、がポイントだ。飲み過ぎては暴走する。飲み足りなければ緊張する。
アルコール度数7%のサワー缶350ml1本、これが私が考え出した理想であった。コンビニの駐車場で、プルタブを開ける。
ライブを1本やってきた会長はお疲れモード、「ちゃんとやりたいから」とお茶を飲んでいた目黒さん、翌日の仕事に響かないようダンナも飲まず、ユーちゃんはなぜかビールではなくウーロンハイを飲んでいた。いつもとは違う雰囲気の中、しかしバンドとしてはかなり前進した感のあるリハとなった。歌も何とかなった。決め事も決まった。確認事項はクリアした。
リハを終えてファミレスで、晴れ晴れと飲んだ。夢庵のボトルワインが安かった。曲が1曲増えた。やりますやります。気持ちが良かったのである。
朝だ。
左にエル、右に大五郎が寝ていた。
頭が痛い。
ダンナはもう仕事に行ったようだ。
前日の記憶をたどる。
何とかなったのだ。これからも、何とかなるだろう。
私は再び、目を閉じた。
そして、もっと何とかなるはずだ。何とかしよう。
そして再び眠りに落ちる。