人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

このしろ

食材の買い物には、基本的に毎日出ている。

自分の頭でレシピを考えられないのだ。残り食材とレシピ本と相談し、その日と翌朝の献立を考える。それを買いに出る。一日単位の作業になっているのである。

となると買い物リストに沿って買うだけだが、安いものがあるとつい買ってしまう。それが翌日のノルマとなり、いいやら悪いやら。冷蔵庫は常にパンパンだ。まぁ腐らせなきゃいいだけの話だ。今日もまた、レシピ本とにらめっこである。

 

昨日衝動買いした安い食材は、魚だ。半額値下げ品。

生魚である、緊急度は高い、つまり難易度も上がるが、なんと4尾242円の半額だ。分からない方に説明すると、半額で121円、つまり1尾30.25円。計算機使いました(笑)

見たこともない魚であった。ネット情報で何とでもなるだろう。買ってしまった、「このしろ」。このしろ??

コハダのことらしい。

家に帰って調理法を調べてみたところ、・・・・・・・厄介なものに手を出してしまったようである。

なにしろこのしろは「臭い」ことで知られていて、釣ったらすぐに下処理をすることが勧められていた。釣ったらすぐって、買う側は捕獲方法まで選べんのだ。この目の充血具合から行って、いかにも半額な時間経過と思われる。

とは言え、スーパーで売ってる魚で一本釣りのものなんてないだろう。どのこのしろも(どのこのしろ!)、それなりの時間経過をたどっているはずだ。レシピもその前提のものがあるはずだ。

 

それによると、・・・・・・・面倒くさいな!!塩をたっぷり振って2時間。水が出るので、それに触れないようザルなどに上げておく。どういう状態じゃ。どこに置くんじゃ生魚2時間。そして臭い対策か、酢でシメろというものが圧倒的に多い。こんな目の充血したこのしろを、酢〆とは言え生で食べるなんて無理だろう。

他には、唐揚げ。面倒過ぎる。

私は激しく後悔した。

 

とりあえず早急に下処理をした方が良さそうだが、塩を振るくだり超絶面倒で手も足も出ない。ええい。

臭み対策だ。酢にひと晩漬けて焼いてしまえ!!ワタとエラだけ取って、酢と、何となくみりんに漬けた。

これで終わりではない。

このしろは小骨が多いとのこと。塩焼きにする場合、切り込みをたくさん入れた方がいいらしい。

いいいい、わかったわかった、小骨1本ずつ取るよりはマシだ。しかし切っただけでなくなる訳じゃない小骨は、一体どんな食感となるのだろう。

もう思考回路は限界を迎えていた。知らん。なるようになれ。

 

朝。

このしろを冷蔵庫から出し、5ミリ幅に切り込みを入れていく。その上から塩。

臭いのか?

これまでに臭い魚というのは、一度だけ食べたことがある。サメだ。賞味期限は切れていなかったが、アンモニア臭があって酷かった。結構トラウマ級にまずかったので、このしろにも恐怖だ。

アジぐらいの大きさだ。4尾あったので、ひとり2尾。グリルで焼いて、野菜と一緒に皿に載せた。見栄えがいいので、朝ご飯はこうしてワンプレートにすることが多い。

 

先に焼けた分を、ダンナが食べていた。「別に臭くないよ。美味しい。」と言ったが、食べにくそうに小骨を避けて皿の隅にまとめていた。

どれ。

確かに、臭くなったであろう味を想像できる感じのギリではあったが、先入観がなければギリ普通の味でもある。

小骨のザクザク感も、私なら普段からバリバリ食べてしまうので、問題ない。

さりとて美味しいかと言われれば特別そんなこともなく、もうこんな危ない橋は渡りたくないというのが正直な気持ちだ。

 

このしろ。

寿司屋でコハダとして、また会おう。