人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

太陽の帝国

実家から借りたのだ。父のなのか兄のなのかは謎。

スピルバーグの古い作品。    

     

 

  監督: スティーヴン・スピルバーグ

  キャスト:クリスチャン・ベール、ジョン・マルコヴィッチ

 

1941年、中国、上海。外国人居留地にはまだ日本軍の影響はなく、多くの欧米人が暮らしていた。

ジェイミーはそんな中、裕福な家庭で育つイギリスの少年だったが、協調性がなく周りの言うことをきかないため、大人たちは手を焼いていた。

本人はそんなことは意に介さず、至って楽しく、刺激的な毎日を過ごしていたが、真珠湾攻撃の開戦から、一変する。

 

日本軍がジェイミーの住む町に上陸し、逃げ惑ううちに両親とはぐれてしまう。

ここから厳しい生活の始まりだ。

みんな自分一人生きるのに必死、相手が子供であろうと容赦はしない。

死と隣り合わせの収容所。

やがて今度はこの「日本軍の施設」をアメリカが攻撃するようになる。

そして終戦。

ジェイミーは孤児院で、今日も両親を待つ・・・。

 

 

ジェイミーは、普通の子供とは違う個性的な子供だ。そのぶん扱いにくく、理解されにくい。

ひとりで勝手に喋りまくり、相手の都合も考えず、直感的に動いてしまう。

独特の価値観を持ち、それは決して揺らがないのだ。

例えば、大好きな飛行機。

敵も味方もなく、ゼロ戦もマスタングも大好き。目の前に飛行機があれば、日本兵がいても全く気にしないで引き寄せられていく。

そもそも彼の中に「敵・味方」という概念がない。もしかしたら他人と自分の境界線すら怪しい。

それだけ純粋な彼は、それを大きな武器として過酷な環境を生き抜いていく。

 

我慢できずに停めてあるゼロ戦に触れに行くジェイミー。

それを咎め、銃を向ける日本兵。

その時やって来たパイロット達に向かい、ジェイミーは敬礼する。

それは「生き延びるため」の媚びる敬礼はなく、純粋な憧れからの敬礼だ。目を輝かせ、背筋を伸ばし、敬意に満ちている。

 

こういった場面が何度か起こるが、さてどうなるのか。

これは戦争映画ではなく、人間の価値観を問う作品なのではないか。

私達は生きていくうちにさまざまな情報を取り入れ、自分の中で取捨し、価値観を更新していく。

ジェイミーを見ていると、この「更新」がいかに利己的だったのかという気持ちにさせられる。

 

「ボーダーレス」が究極の平和なのかもしれない。

 

 

ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆

ダンナのオススメ度 ★★★☆☆