兄と某ファミレスに入った時のことである。
食事時ではなかったので私はスイーツを、兄は小腹が減ったと言ってうどんを頼むことにした。
迷わず呼び出しボタンで店員を呼んだが、「そちらのタッチパネルからご注文下さい。」と言われる。目と口をかっ開いて見つめ合う兄妹。
「そ、そうか、そうだよね、そのためにこれが・・・。」タッチパネルを引き寄せる。ちなみにメニューは、従来の紙メニューの方を見た。
「うどん、うどん、と・・・、これか。」注文。
「白玉あずき、白玉あずき、注文。あれ?」
「?」
「うどん入ってなくない?」
「え?さっき入れたよ。」
「でもなくない?」
「いや、絶対に入れた。」
「うん、私も見た。どこに行ったんだ?」
うどんが消えているので、また入れることにした。数は大丈夫なんだろうか。
「うどんうどん・・・、注文。なんで入らなかったんだろう?」
「入らない。」
「うどんが入らない。」
『確定』を押していなかった(笑)
こんな年寄りじみた事態が起こる日が来るとは。
考えてみれば、ATMも使いこなす自信はないし、バス料金のパスモ残高が足りなくなることを考えると震える。
DVDの予約はおろか、再生もできない。買い物の清算もこの頃は機械任せになってきており、店によって微妙な違いがあるのも戸惑う。
GUのセルフレジには感動したが、自分でやれと言われたらできる自信がない。
「オレはもう、そういうのは無理だから」と言ってスマホに変えない父と、大差はないんじゃないか。少なくとも、同じ道を辿っている。
辛うじて「できる」と言えるのはパソコン操作、しかしこれもブログ投稿と検索ぐらいのもので、得意なゲームにしても、その機能を十分に活用しているとは言い難い。
このままでは、まずい。
私はもっと、ひとりで色々やってみることにする。
両替も、スマホ決済も、エッジのダウンロードも、自分でやたらとやることにする。
仮に余計に面倒なことになるとしても、やらないよりはやった方がいいはずである。何しろ現状では無知なのだ。
父にも、もう少し頑張っていただこう。助けることが必ずしもいいとは限らないようである。