いや~~、長かったEE:AE5B1
分厚い文庫本2冊、普通の量に換算すれば、5、6冊分ぐらいあったんじゃなかろうか。
長編映画を観終ったような気持である。
夢中で読んだ。
次々と怒涛のように巻き起こる展開に、ページを進める手が止まらない。
アメリカのシリーズドラマを小説にしたような感じである。
長いが、どんどん惹き込まれていく。
復讐劇も、いよいよ激化の一途を辿る。
麻薬組織側も、捜査側も、狙ったターゲットを次々と確実に、残忍に、仕留めていく。
復讐が復讐を呼び、もうどちらかが壊滅しないと終わらない状況だ。
数多くの裏切りが正義となり、正義の名のもとにまた多くの血が流される。
いかに裏切らせるかが、先手を取る鍵である。
そんな血なまぐさい復讐劇の中、最後にやっと「純愛」をみることができる。
その先に待つのは、死だ。
そして死ぬのは・・・。
とにかく登場人物が多く展開が目まぐるしいので、ここであらすじを細かく書くことにあまり意味はないように思う。
前半の上巻よりもよりエキサイティング、スリリング、スピーディな展開だ。エンディングに向けて駆け抜けていく感じである。
面白かった。
手に汗握るような場面の連続で、やめ時が難しい(笑)逆に、最後など読み終わるのがもったいなくて、わざわざ残してチビチビ読んだ。
ただ、ここまで壮絶にやってきたのが、結末が甘い。
ドン・ウィンズロウ知りませんが、こんなに引っ張って来れるのだ、それなのにこのエンディングは本気出してないんじゃないか?という気になったが、・・・続編が出ていた(笑)それならいい。続きで頼む。
こんな感じで、とにかくグイグイ惹き込まれて読んだが、手放しでオススメできるかというとそうでもない点もある。
メキシコの国内情勢、中米の情勢、メキシコとアメリカの関係など下地として分かっていないと、ところどころついていけなくなる。
また南西国境特務室、中央アメリカ地域司令官、陸軍特殊部隊、連邦保安局員など馴染みのない組織がたくさん出て来るので、こちらもたびたび混乱した。
登場人物も多く、一体どこが、誰が、アメリカ側でメキシコ側なのかというややこしさのストレス。
一応巻頭に書いてはあるが、項目も説明も足りない(笑)
続編は独自にメモを取っていこうと思う。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
「犬の力(下)」 ドン・ウィンズロウ
角川文庫