人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

犬の力(下) / ドン・ウィンズロウ

いや~~、長かったEE:AE5B1

分厚い文庫本2冊、普通の量に換算すれば、5、6冊分ぐらいあったんじゃなかろうか。

長編映画を観終ったような気持である。

夢中で読んだ。

次々と怒涛のように巻き起こる展開に、ページを進める手が止まらない。

アメリカのシリーズドラマを小説にしたような感じである。

長いが、どんどん惹き込まれていく。

復讐劇も、いよいよ激化の一途を辿る。

麻薬組織側も、捜査側も、狙ったターゲットを次々と確実に、残忍に、仕留めていく。

復讐が復讐を呼び、もうどちらかが壊滅しないと終わらない状況だ。

数多くの裏切りが正義となり、正義の名のもとにまた多くの血が流される。

いかに裏切らせるかが、先手を取る鍵である。

そんな血なまぐさい復讐劇の中、最後にやっと「純愛」をみることができる。

その先に待つのは、死だ。

そして死ぬのは・・・。

とにかく登場人物が多く展開が目まぐるしいので、ここであらすじを細かく書くことにあまり意味はないように思う。

前半の上巻よりもよりエキサイティング、スリリング、スピーディな展開だ。エンディングに向けて駆け抜けていく感じである。

面白かった。

手に汗握るような場面の連続で、やめ時が難しい(笑)逆に、最後など読み終わるのがもったいなくて、わざわざ残してチビチビ読んだ。

ただ、ここまで壮絶にやってきたのが、結末が甘い。

ドン・ウィンズロウ知りませんが、こんなに引っ張って来れるのだ、それなのにこのエンディングは本気出してないんじゃないか?という気になったが、・・・続編が出ていた(笑)それならいい。続きで頼む。

こんな感じで、とにかくグイグイ惹き込まれて読んだが、手放しでオススメできるかというとそうでもない点もある。

メキシコの国内情勢、中米の情勢、メキシコとアメリカの関係など下地として分かっていないと、ところどころついていけなくなる。

また南西国境特務室、中央アメリカ地域司令官、陸軍特殊部隊、連邦保安局員など馴染みのない組織がたくさん出て来るので、こちらもたびたび混乱した。

登場人物も多く、一体どこが、誰が、アメリカ側でメキシコ側なのかというややこしさのストレス。

一応巻頭に書いてはあるが、項目も説明も足りない(笑)

続編は独自にメモを取っていこうと思う。

  ぽ子のオススメ度 ★★★★★

「犬の力(下)」 ドン・ウィンズロウ

角川文庫