ビンゴゲームで当てた本だ。なので、自分の好み・興味云々抜きで、手元にやってきたのである。
果たしてそれは、麻薬組織、そしてそれを追う捜査官の話であった。ゴッドファザーばりの、マフィアもの。
しかし主人公は、その対極にいる捜査官である。
陰と陽、その双方にスポットを当てながら、話は進んで行く。
私は寝る前に本を読むが、これまでは3、4ページも読むと眠くなっていた。
ところがこれ、なかなかやめられないのである。
登場人物も多くややこしい話なのに、不思議と眠くならないのだ。
その代わり吸収も難しく、翌日はかなり遡って読み直していた(笑)
ややこしいけど、面白い。そんなところか。
1975年。
メキシコでは麻薬組織がはびこり、これ以上アメリカに麻薬が流出するのを防ぐために、DEA特別捜査官のアート・ケラーは送り込まれた。
正義感で挑むアートと、組織に汚染されているメキシコ警察。ばかりか所属するDEAまでも、及び腰である。
始めは正義感で動いていたアートだったが、部下が組織に殺されるとそれはやがて復讐へと変わっていく。
「叔父貴」と呼ばれる組織のトップ・アンヘルが、その最大のターゲットだ。
アンヘルの許には不幸な境遇にいるアダン、向こう見ずなラウルの甥っ子兄弟。
アダンには、重い病気を持った子供と心を閉ざした妻の物語が、ラウルには街で仲間にしたファビアンの物語がある。
不幸なアダンを救おうとするのは、娼婦ノーラ。
ノーラは、左翼呼ばわりされて危険な状況下にいる司祭・パラーダに仕えていた。
それぞれの運命が複雑に絡み合う中、ついに叔父貴アンヘルの前にアートが現れる。
そしてここから始まるのが、アンヘルの復讐劇だ。アートから、裏切者の名を聞いた。
その壮絶な火蓋を切るところで、上巻は終わる。
まぁこんな感じでとてもややこしいが、非常に壮大かつエキサイティングなので、放り出すことなく上巻を読み切った。
ちょっとした小説2、3冊分ぐらいの分量はある(笑)
それでも小さなドラマが次々展開されるので、目が離せないのだ。
辛抱強く読めるなら、楽しめるだろう。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「犬の力(上)」 ドン・ウィンズロウ
角川文庫