人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

犬の力(上) / ドン・ウィンズロウ

ビンゴゲームで当てた本だ。なので、自分の好み・興味云々抜きで、手元にやってきたのである。

果たしてそれは、麻薬組織、そしてそれを追う捜査官の話であった。ゴッドファザーばりの、マフィアもの。

しかし主人公は、その対極にいる捜査官である。

陰と陽、その双方にスポットを当てながら、話は進んで行く。

私は寝る前に本を読むが、これまでは3、4ページも読むと眠くなっていた。

ところがこれ、なかなかやめられないのである。

登場人物も多くややこしい話なのに、不思議と眠くならないのだ。

その代わり吸収も難しく、翌日はかなり遡って読み直していた(笑)

ややこしいけど、面白い。そんなところか。

1975年。

メキシコでは麻薬組織がはびこり、これ以上アメリカに麻薬が流出するのを防ぐために、DEA特別捜査官のアート・ケラーは送り込まれた。

正義感で挑むアートと、組織に汚染されているメキシコ警察。ばかりか所属するDEAまでも、及び腰である。

始めは正義感で動いていたアートだったが、部下が組織に殺されるとそれはやがて復讐へと変わっていく。

「叔父貴」と呼ばれる組織のトップ・アンヘルが、その最大のターゲットだ。

アンヘルの許には不幸な境遇にいるアダン、向こう見ずなラウルの甥っ子兄弟。

アダンには、重い病気を持った子供と心を閉ざした妻の物語が、ラウルには街で仲間にしたファビアンの物語がある。

不幸なアダンを救おうとするのは、娼婦ノーラ。

ノーラは、左翼呼ばわりされて危険な状況下にいる司祭・パラーダに仕えていた。

それぞれの運命が複雑に絡み合う中、ついに叔父貴アンヘルの前にアートが現れる。

そしてここから始まるのが、アンヘルの復讐劇だ。アートから、裏切者の名を聞いた。

その壮絶な火蓋を切るところで、上巻は終わる。

まぁこんな感じでとてもややこしいが、非常に壮大かつエキサイティングなので、放り出すことなく上巻を読み切った。

ちょっとした小説2、3冊分ぐらいの分量はある(笑)

それでも小さなドラマが次々展開されるので、目が離せないのだ。

辛抱強く読めるなら、楽しめるだろう。

ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆

「犬の力(上)」 ドン・ウィンズロウ

角川文庫