適当に買うと当たりハズレが激しいので、この頃はちゃんと調べて狙いをつけてからネットで本を買うようになっていた。
しかし、到着が間に合わなかったので、出先の古本屋で買うことになってしまったのだ。
そこで目についた、眉村卓。
懐かしい。中学生の時に流行った作家である。
最近懐かしく思って探したこともあったが、あの頃読んだものは見つからなかったのだ。
この本も、昔読んだような長編SF小説ではない。
眉村氏が、病に侵された妻を見送るまで毎日書き続けたショートショート集であった。
一日一話。最低、原稿用紙三枚。エッセイはダメ。
最終的には1778話にも及んだようだが、その中から選りすぐった52話が収録されている。
ショートショートは星新一を良く読んでいたので、ああいう奇想天外なオチを期待してしまっていた。
眉村氏本人も言っていたが、なにもオチがつくだけがショートショートではない。なるほど、とじんわり考えさせられるようなものを書きたいとのことで、フィクションであるというだけのエッセイテイストのものが多かった。
なので、物足りなかったというのが正直な感想だ。
一話ずつ、解説が最後に書かれていたが、解説というよりも言い訳のような往生際の悪さを感じ、ますます収まりの悪さを感じた。
まぁ、好みの問題なのかな?
スカッとしたオチを求めて読むには、向かないだろう。
最後の方の、奥様の病状ががいよいよ厳しくなって来てから亡くなるまでの作品は、その時の心情を間接的に反映していて切ないものがあったが。
ぽ子のオススメ度 ★★☆☆☆
「僕と妻の1778話」 眉村卓
集英社文庫