人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

Crazy about you

ADD、ADHDの人間は、目に見えない情報を記憶に留めておくことが難しいらしい。

約束を忘れたり整理整頓ができなかったりする根源である。

なので、冷蔵庫での保存は、透明でどこからでも中が見えるような容器でできるだけ決まった場所に入れるといいとのことだ。

なるほど、冷蔵庫はじめ我が家の収納スペースの奥地は、忘れ去られた化石の巣窟のようになっている。

やがて入りきらなくなり、そのたびに処分する繰り返しだ。

なので、できるだけ冷蔵庫のタッパーは、用がなくても手に取ってみるようにしている。

たまっていた。

スープ3種類。

大根とつくねのスープ、サンラータンスープ、肉を煮込んだ残り汁、どれも少量だ。

それぞれ飲めば3回分になるが、すでにもう、かなり期限がエグいことになっている。

こういう場合私は味と臭いで判断するが、まだいけそうではある。しかしどれもすでに10日は経っているだろう。数字的にはアウトだ。

捨てたくないので、全部混ぜて食べた(笑)

う~ん、ひとつひとつは美味しいのに、やはりこう混ぜらかすと不思議な味である。

しかしテーブルには、いい意味でヤバいヤツも載っていた。

筋子EE:AEAABEE:AEAAB

ほんに、ほんに、危険な野郎だ。すでに何杯の飯を胃袋に送り込んだことか。

普段私は、あまり白飯というものを食べない。

それなのに、この筋子ひと口が、いかほどのご飯を誘発するというのか。

そればかりか、まるで塩の塊のような塩分。

これが筋子のネットリとしたそれに含まれるだけで、「ご飯のお供」になってしまうのである。

半額が続き、2パック目に入った。

大粒でしょっぱめ、大きいものがふた腹分ずつ。

最初のパックは止まらずに、一気に半分ひとりで食べてしまった。ヤバかろう。

私は筋子で死ぬのか。

バンド仲間にその死が伝えられる時、「ぽ子は筋子の食べ過ぎで死んだ」と言われるということか。

でも、飛行機事故で死ぬなら筋子を食べ過ぎて死んだ方がいい気がする。

「人を狂わせる」という表現があるが、筋子が私を狂わせるのである。

最初のうちは「これぐらい」と決めているのに、「あとひと口」、「次で終わり」、そのうち「もう知るか」となり、いよいよ最後には断腸の思いでタッパーのふたを閉める。その頃にはご飯はすでに何度目かのお替りを終えているのだ。

なのに、まだ食べたい気持ちは残るという。

狂おしい別れだ。魔の食べ物である。私は筋子の奴隷である。

先日大型鮮魚店の前を通った時、歩きながら手も使わずに、パックから直接筋子に噛みついている人を見た。

筋子というだけあり、ゴツいスジでそうそう噛み切れるものではないと思うのだが、あの調子では麺類のように啜り上げていくことになるだろう。

彼も私と同じく、筋子の奴隷なのだ。もっとレベルは高い。私などはあれを見たら反射的に昔話のような大盛りご飯を思い浮かべてしまう。

やがて私もああなるのだろうか。

あぁ、一度でいい、筋子と生ガキを限界まで食べてみたい・・・。