人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

筋子が兵器となるとき。

筋子め。

半額になっていたのでつい買ってしまった。また誘惑との戦いの日々である。

週末の食べ過ぎを相殺するために、朝ご飯は抜いた。

昼になって、週明け恒例のラーメン、と思うのだが、筋子の存在が後ろ髪を引く。

ご飯はしっかり炊いてあった。

ただ、食べるためには筋子を切らなくてはならない。

そのひと手間を、地獄の重労働ぐらいに考えるように努力し、私はラーメン用のお湯を沸かし始めた。

これが沸けたら、ラーメン一直線である。

・・・。

急いで冷蔵庫を開けて、筋子のトレーを出す。

まな板と包丁、タッパー。

ラーメンに備えてご飯はほんの少しに。

でも筋子は食べたい。

筋子2:ご飯1の割り合いで食べる。

止まらん。筋子、お前は本当に。

同じぐらいのちょっぴりをおかわり。

筋子3:ご飯1。

もうこれで終わりにしよう。

げに恐ろしい食材である。筋子。

味噌ラーメン(今日は中華三昧である)の汁まで飲んでしまったこともあり、そのうちテキメンに喉が渇いてくる。

冷蔵庫に入っていた飲みかけのペットボトル類を、飲みつくす。

夕方になると、小腹が減ってきた。

オヤツと称してまた、筋子とミニライスだ。2:1。

あぁなんで、筋子ってこんなに美味しいのでしょう。

止まらん。

ヤバい。

このままだと炭水化物過多である。

もうご飯はいらん。筋子オンリーユー。

ご飯がなくなると、筋子の1回の単位が混乱してくる。

もうちょっと、これぐらいなら、いやあと少し。

どれだけ食べただろうか。ある線を超えたら、コントロールが効かなくなってしまった。

ご飯with筋子も最高だが、筋子オンリーは「割らないカルピス」の如き贅沢さがある。

私は上を向き、恍惚として筋子を食んでいた。

この筋子は、細いが長いものが3本も入っていたパックである。

それがすでにもう、半分ほどになってしまった。

こんなに筋子を食べて大丈夫なのだろうか。

血圧が低いのをいいことに、私は塩分に関しては割と無頓着である。

しかし、「醤油飲んで死ね」というセリフがあるぐらいなのだ。それに相当する筋子を食べたら死ぬのだろうか?

気は済まなかったが、筋子で死にたくはないのでここで終わりにした。

ぽ子さん、死んじゃったんだって?

筋子食べ過ぎたらしいわよ。

・・・いかん、曲がりなりにもロッカーのはしくれだ。酒で死んだほうがよっぽどマシである。筋子はない。

麻薬ほどに恐ろしい食べ物だ、筋子。

そして今私は、猛烈に喉が渇いている。

もうちょっと国の方で筋子の摂取量の限界について、国民に周知するべきではなかろうか。

このままではいつか死人が出る。

願わくば、その最初のひとりになりたくはない。