筋子め。
半額になっていたのでつい買ってしまった。また誘惑との戦いの日々である。
週末の食べ過ぎを相殺するために、朝ご飯は抜いた。
昼になって、週明け恒例のラーメン、と思うのだが、筋子の存在が後ろ髪を引く。
ご飯はしっかり炊いてあった。
ただ、食べるためには筋子を切らなくてはならない。
そのひと手間を、地獄の重労働ぐらいに考えるように努力し、私はラーメン用のお湯を沸かし始めた。
これが沸けたら、ラーメン一直線である。
・・・。
急いで冷蔵庫を開けて、筋子のトレーを出す。
まな板と包丁、タッパー。
ラーメンに備えてご飯はほんの少しに。
でも筋子は食べたい。
筋子2:ご飯1の割り合いで食べる。
止まらん。筋子、お前は本当に。
同じぐらいのちょっぴりをおかわり。
筋子3:ご飯1。
もうこれで終わりにしよう。
げに恐ろしい食材である。筋子。
味噌ラーメン(今日は中華三昧である)の汁まで飲んでしまったこともあり、そのうちテキメンに喉が渇いてくる。
冷蔵庫に入っていた飲みかけのペットボトル類を、飲みつくす。
夕方になると、小腹が減ってきた。
オヤツと称してまた、筋子とミニライスだ。2:1。
あぁなんで、筋子ってこんなに美味しいのでしょう。
止まらん。
ヤバい。
このままだと炭水化物過多である。
もうご飯はいらん。筋子オンリーユー。
ご飯がなくなると、筋子の1回の単位が混乱してくる。
もうちょっと、これぐらいなら、いやあと少し。
どれだけ食べただろうか。ある線を超えたら、コントロールが効かなくなってしまった。
ご飯with筋子も最高だが、筋子オンリーは「割らないカルピス」の如き贅沢さがある。
私は上を向き、恍惚として筋子を食んでいた。
この筋子は、細いが長いものが3本も入っていたパックである。
それがすでにもう、半分ほどになってしまった。
こんなに筋子を食べて大丈夫なのだろうか。
血圧が低いのをいいことに、私は塩分に関しては割と無頓着である。
しかし、「醤油飲んで死ね」というセリフがあるぐらいなのだ。それに相当する筋子を食べたら死ぬのだろうか?
気は済まなかったが、筋子で死にたくはないのでここで終わりにした。
ぽ子さん、死んじゃったんだって?
筋子食べ過ぎたらしいわよ。
・・・いかん、曲がりなりにもロッカーのはしくれだ。酒で死んだほうがよっぽどマシである。筋子はない。
麻薬ほどに恐ろしい食べ物だ、筋子。
そして今私は、猛烈に喉が渇いている。
もうちょっと国の方で筋子の摂取量の限界について、国民に周知するべきではなかろうか。
このままではいつか死人が出る。
願わくば、その最初のひとりになりたくはない。