ピーマンとタケノコ水煮。
これの消費がノルマであった。
思いついたのは、チンジャオロース。
ダンナの好物である。
にもかかわらず、あまり作ったことがないのはなぜなのだろうか。
その答えが、分かったのだ。
この日はいつも行くスーパーではなく、車でちょっと離れたホームセンター内にある大型スーパーまで行ったのだ。
ホームセンターの方に用事があったのもあるが、ここなら食材の選択肢が広い。肉も安かった気がする。
チンジャオロースに使うのは、牛肉だ。
いかに安く上げるか、ここが課題であった。
部位にもよるが、100gあたり130円以下なら安い方だろう。100円以下ならどの部位でも買いたくなる。
果たしてここでは、薄切り肉が100g100円であった。
しかし、薄い。馴染みのある肉だ。焼くとどうなるかは、良く分かっている。
これは肉豆腐や肉じゃがなんかに使う肉である。チンジャオロースには役不足だ。経験済み。
ペロンペロンの粉々、そして油っぽい。
嫌いじゃないが、君は違う。
途端にハードルが上がった。
他にあるのは、ステーキ肉、焼き肉用、タタキ用ブロック。
一番近いのが焼き肉用だが、焼き肉用だ。ひと口サイズが上品に並んだものばかり。
いやそんな、サシなんか入ってなくていい、硬いモモなんかでいいのだ。肉を味わうのではない。野菜とのハーモニー、協調性も大事。
なにより、高い。ビックリするほど高い。チンジャオロースに出す値段ではない。これなら焼き肉をやる。
結局、いつも行くスーパーへハシゴした。
しかしちょっとばかり安くはなっているだけで、内容に大差はなかった。
ちょっと厚切りの薄切りモモ肉。
なければブロックでもいいが、タタキ用ほどは使わない。
そういったものがないのである。皆無。
そう言えば、そういったものを見たことがないような気がする。
家庭でチンジャオロースを作ろうと思うと、こんなにもハードルが高いものなのか。
もうチンジャオロースでスタンバってしまったので、予定を変更する気はない。
仕方がないので、広告の品になっていたステーキ肉で代用することにした。
手に取って、見た。
カゴの中で見た。
エコバッグから取り出す時、冷蔵庫に入れる時。つくづく私は思った。
「ステーキが食べたい。」
久しぶりのチンジャオロースは美味しかったが、なぜか残念な気持ちでいっぱいだった。