人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

チンジャオロースのハードル

ピーマンとタケノコ水煮。

これの消費がノルマであった。

思いついたのは、チンジャオロース。

ダンナの好物である。

にもかかわらず、あまり作ったことがないのはなぜなのだろうか。

その答えが、分かったのだ。

この日はいつも行くスーパーではなく、車でちょっと離れたホームセンター内にある大型スーパーまで行ったのだ。

ホームセンターの方に用事があったのもあるが、ここなら食材の選択肢が広い。肉も安かった気がする。

チンジャオロースに使うのは、牛肉だ。

いかに安く上げるか、ここが課題であった。

部位にもよるが、100gあたり130円以下なら安い方だろう。100円以下ならどの部位でも買いたくなる。

果たしてここでは、薄切り肉が100g100円であった。

しかし、薄い。馴染みのある肉だ。焼くとどうなるかは、良く分かっている。

これは肉豆腐や肉じゃがなんかに使う肉である。チンジャオロースには役不足だ。経験済み。

ペロンペロンの粉々、そして油っぽい。

嫌いじゃないが、君は違う。

途端にハードルが上がった。

他にあるのは、ステーキ肉、焼き肉用、タタキ用ブロック。

一番近いのが焼き肉用だが、焼き肉用だ。ひと口サイズが上品に並んだものばかり。

いやそんな、サシなんか入ってなくていい、硬いモモなんかでいいのだ。肉を味わうのではない。野菜とのハーモニー、協調性も大事。

なにより、高い。ビックリするほど高い。チンジャオロースに出す値段ではない。これなら焼き肉をやる。

結局、いつも行くスーパーへハシゴした。

しかしちょっとばかり安くはなっているだけで、内容に大差はなかった。

ちょっと厚切りの薄切りモモ肉。

なければブロックでもいいが、タタキ用ほどは使わない。

そういったものがないのである。皆無。

そう言えば、そういったものを見たことがないような気がする。

家庭でチンジャオロースを作ろうと思うと、こんなにもハードルが高いものなのか。

もうチンジャオロースでスタンバってしまったので、予定を変更する気はない。

仕方がないので、広告の品になっていたステーキ肉で代用することにした。

手に取って、見た。

カゴの中で見た。

エコバッグから取り出す時、冷蔵庫に入れる時。つくづく私は思った。

「ステーキが食べたい。」

久しぶりのチンジャオロースは美味しかったが、なぜか残念な気持ちでいっぱいだった。