人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

幻の下から1段目

一瞬宙に浮き、次には足に激痛が走っていた。

なに!?

あるはずのものがなかったのである。正確に言えば、あるはずのものを認知していなかったということだが。

階段を踏み外したらしい。

うちの階段はらせん状になっているので、階段の面は三角形をしている。つまり、細くなっている場所と広くなっている場所があるということである。

そして広くなっている場所にはギターケースやメロンが置いてあったりして、私達は細い部分を上下していたのだ。

その「細い次の段」を認知できずに踏み外したということらしい。私はボーッと、玄関に置いてある花のことを考えていた。

あるはずの階段を飛び越して、床に向かって左足は下りた。下から2段目であったのは、不幸中の幸いである。

しかし左足は一手に衝撃を引き受け、その痛みに耐えられず私はすぐに引っくり返った。

とっさに考えたのは、ビリーズブートキャンプのことである(笑)負傷はヤバい、あれができなくなるのはヤバいEE:AE5B1

喉に結節ができているから高い声や無理な声を出すなと言われていたが、私はハイトーンで「い~~~~~~!!」と鳴いた。

次に考えたことは、足がどうなろうとビリーはやろうということであった。足をかばって動けば、また新たな負荷を筋肉にかけることができるかもしれない。

やがて痛みが治まり、立ち上がる。

もう大丈夫だ。普通に歩けるし、大したことなかろう。

筋トレもやったし、車で買い物にも行った。

ちょっと痛い向きもあるが、かばえば日常生活には支障がない範囲だ。

ただ、心配もあった。

左足は、私の全体重を込めて、何の構えもなく一点集中で叩きつけられたのである。大丈夫なのか?

かばえば痛くないが、かばわなければ痛い。何かしらのダメージがあるのは確かだ。

でもおとといも病院で5千円も取られたばかりだし、明日は発表会の参加費を持っていかなくてはならない。

お金も惜しいし、時間も惜しい。

しかしもし悪化した場合、週末に入ってしまい、やっている病院がかなり限られてしまうだろう。

行くなら今だ。

う~~ん、足がどうなっているのかなんて、医者だってレントゲンでも見ないと分からないのだ。私には判断できないのである。

行くかEE:AE5B1

捻挫であった。

飲み薬はどうしますか?と聞かれたので、飲まずに済むならいらないと言って断った。

湿布とテーピングで終了。なんだ、これなら行かなくても良かったなEE:AE4E6

大したことなさそうだし、ビリーをやろう。今日は集中トレーニング最終日だ。休むなど考えられん。

飛んだり跳ねたりは片足でやり、足首の動きは痛まないように工夫した。

なんだ、これなら大丈夫だ。捻挫など、ビリーの前には屁でもない。

・・・・・・・これがいけなかったのだろうか。今、足が猛烈に痛い。

もうかばおうにも、痛まない動きがない。体重がかかると痛いので、かかりきる前に次の足を出すようにする。ピョンピョンと跳ねるような動きである。

それも続けると突然激痛が走るので、物につかまって歩いている状態だ。

もう晩ご飯の支度は投げたが、私には「終電で帰るダンナを迎えに行く」という最後の仕事が待っている。

自転車で帰ってもらおうにも、ダンナは今、少しでも遅くまで仕事ができるよう、帰りは隣の駅で降りているのだ。

そして恐らくダンナが私のこの現状を知るのは、仕事が終わって終電に乗ろうという頃だろう。間に合わん。

まぁ運転は座ってするものである。体重が一気にかかることはなかろう。

どうなることやら全く想像がつかないが、やれるところまでやってみる。しかなかろうよEE:AEACB

最悪、隣の最寄駅までタクシーで行き、そこから自転車で帰ってもらうことになるだろう。

それにしても、なぜか仕事帰りに何かが起こる。

電車が遅れる。

私が道を間違える。

5分10分も惜しい時間に帰ってくるというのに、本当に気の毒だ。

誰かの呪いだとしても、私の足とは回りくどくないか??

痛いよEE:AEB69