ちょっと前のことだが、高いワインを買った。
大きなショッピングモール内にある大きな酒屋で、ズラーッと並んでいるワインの中から、私達は安いワインを探していたのだ。
この頃は手ごろな値段のワインも多くなり、こんな洒落た店でも安いワインはたくさん売っている。
うちでワインを飲むのはもっぱらダンナなので、私は展覧会の絵でも見るようにワインのラベルを見て回っていたのだ。
そこで私が欲しくなってしまったのである。
「赤果実のジャムの風味とコーヒークリームのニュアンスも感じるオリジナリティ溢れる赤ワインです。」と。
ええっ!?コーヒークリーム!?どんな味よ!?
なんだか不思議でとても美味しそうではないか。
しかし、いつも買っているワインに比べると、べらぼうに高い。
そこで私は提案した。
月1本でもちょっといいワインを買って、味わって飲まないかと。
私たちは相当の量のワインを飲んできた自信はある。相当の量の安ワインを。
ハッキリいって、ただ飲んでいるだけである。どの銘柄が好きだとかどこ産がいいだとかのこだわりは全くない。
強いて言うならドイツの白ワインがクソ甘くて参ってからはドイツだけは避けているが、最近は国産の安いのですらそこそこ飲めるので、それ以外に好き嫌いは全くないと言っていい。
しかし、これだけ飲んでこれだけこだわりがないとは、どれだけ単なるアルコール扱いなのかと。
安ワインもいいが、もうちょっと関心を示せば、この消費量である、ちょっとしたワイン博士になれるかもしれない。
そのきっかけが、この1本なのだ。
この値段だ、心して飲むことだろう。
時々心して飲むのだ。
そして普段の安ワインとの違いを知るのだ。
そんなところから、ワインへの扉を開こうじゃないか。
特別なワインである、ただの晩酌で飲むにはもったいないので、しばらくはしまってあったのだ。
その間にも安ワインを4本空けたが、ワイン熱が盛り上がって、この安ワインからラベルをはがし、感想と共にとっておくことに決めたのだ。
これからはこうして、全てのワイン情報を残していく。
そう決めるとラベルもちょっとした芸術品に見えてくる。
「ジャケ買いしちゃったEE:AE5BE」などと言って、ダンナがワインを買って帰ってくるようにもなった。
ところが困った事に、ラベルが剥がれないのである。
ネットで色々調べてはあったが、お湯につけておく、というのが一番ポピュラーな方法であった。
しかしこれはダメだった。端をつついてもネバって離れない。
他にもダメ押しで「ドライヤーで温める」というものがあったが、すっかり面倒になってしまい、最初の1本をお湯につけたままどんどん次の瓶がたまってきている状態である。
たまってくるとますます嫌になってくるもので、ずっと黙殺していたが、とうとう昨日、在庫がなくなってしまったので例の高いワインに手をつけてしまった。
これをあの安ワインの空き瓶と混ぜてしまったら、もう永遠にラベルは剥がさなくなるような気がする。
何とかもっと簡単に剥がす方法はないのか。
最近のワインのラベルは、意外と剥がしにくいらしい。同じ悩みを持っている人は多く、最終的にたどりつくのは、専用のラベル剥がしであった。
12枚で約千円という、非常に微妙な値段だが、月に6本飲むと考えれば月に500円だ。
ネバるラベルと格闘した挙句にグシャグシャになることを考えれば、安いものだ。もういっそ全部これにお願いしたい。
ところで高いワインだが、どこがどう高いのか、全く分からなかった(笑)
普通に美味しかったが、安ワインだって普通に美味しいのである。
深い。
どうやらワインの世界は奥が深そうである。そう思わないとやってられん。
ところで私達が買った高いワインは、1500円である(笑)
いやぁ千円超えるワインなんて、我が家では2、3年に一度のボジョレーぐらいなのである。
やっぱり1500円じゃまだ安ワインなのか。