人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

オトコを征服するとき。

パソコンデスクにつこうと思ったら、大五郎がそのイスで寝ていたのだ。

黒くて大きな体を投げ出すようにして、悠然と寝ているのである。

珍しいことではない。遠慮なく私は自分を優先するが、ただどかすのではなく、一応膝に乗せてみるようにしている。

大五郎は抱っこが嫌いなのだ。

膝にでも乗せようものなら、猛然と噛み付いて蹴りを入れてくる。

彼なりに手加減はしているようだが、あの図体だ、痛い。

それでも離さずに、撫でたりこすったりしてみる。

こんなに大きな猫なのだ、抱きしめたいのである。

しかし、つれないものだ。やがて蹴り飛ばしてすり抜けていく。

「誰のおかげでメシが食えると思ってんのEE:AE4E5

私は昭和のオヤジのような暴言を吐いてみるが、そんなもの、大五郎には屁にもならない。

どうしたって私は4度のご飯を彼に与えるし、私の遠吠えも「ごはんだよー」も、彼には違いが分からないのである。

それでも今日も私は、大五郎を抱く努力をしていた。

ブログの下書きをしてしまおうとパソコンデスクのイスを見ると、どっかりと体を伸ばしてまた寝ているのである。

なので私は座りしな、彼を膝に乗せる。

間髪いれずに喉元を撫でてやると、どうやら相当眠いようで、ひと蹴り入れるとそのまま目を閉じてしまったのだ。

おお、これはチャンスEE:AEAAB

そうよ、大五郎。こうしていると、気持ちいいでしょう。

私は首の周りを軽くこすってやる。

大五郎は目を閉じて、顎を突き出してきた。

いわゆる「あ~ん、もっとEE:AE595」である。

少しずつ手の位置を動かし、首の後ろや顎も掻いてやる。

大五郎はピーンと首を伸ばしたままだ。

「猫使い」を自認しているぽ子である、ツボは心得ている。

せいぜい首から上だ。

そして、同じポイントに執着してはいけない。

時々位置を変え、強さを変えながら、首から上をくまなく愛撫していくのが私のテクだ。

ダイめ、私の膝の上でお腹を上にして伸びている。

この子はまだ開発されていない生娘ならぬ生野郎なのだ、私は細心の注意を払いつつ、動きを繰り返す。

ところがだんだん、首の周りに抜け毛がたまってきたのである。

春だ。猫もコートを脱ぐ季節だ。

どの子も、撫でれば面白いほど毛が抜ける季節なのである。

余計な動きをすれば、大五郎は我に返ってしまうだろう。

しかし気になるのー、このフワフワの抜け毛。

手を伸ばせば専用のブラシが取れそうだが、①ブラシを取る時、②ブラシをかける時、と、2つのリスクが待っている。

考えながらも手を動かしていると、毛はどんどん抜けて宙を舞い始めてきた。

ええい、最短でブラシを取って、首の周りだけをブラッシングしてみよう。

今、首は彼の昇天スポットとなっているはずだ。ブラシでもいけるんじゃないか。

案の定、ブラシを取ろうと屈んだ途端に蹴りが入ったが、間髪いれずに首をブラシでこすると、少しずつ力が抜けていった。

おお・・・EE:AEAAB成功だ。私は本当に本当の猫使いなのかもしれないぞ。

まだ他のポイントは危ないので、毛はあちこちに抜けてくっついていたが、その場所だけをしばらくブラシで撫でていた。

しかしこれはこれで危険だ。

同じところばかりを攻めすぎると、「しつこい!!」といって怒り出すこともあるのである。

少しずつ撫でる位置を、首の横から喉元に移動させていく。

毛を取ろうと思うな。

焦らず少しずつ。

やがてブラシが喉元をこすり始めると、大五郎は首をピーンと伸ばしてのけぞっだ。

か~~っ、アタリだ、たまらん、もう撃沈じゃないか。

私は彼の沈没を確認すると、ブラシを少しずつあちこち移動させてみた。

大五郎は伸びたままである。私は思うまま、散らばった毛をブラシに吸収させていった。

ウン、ずいぶん綺麗になったね。

よしよし、じゃあここね、額んとこ。好きでしょ。

ドタマを軽くこすってやると彼は、上半身を起こしてよじ登るようにして抱きついてきた。

えーっ!?うそっ、ハグ!?EE:AE595

すっかり目を閉じて手を伸ばし、ピタリとくっついている。

優しいくせにクールで、甘えん坊のくせに近づかせないヤツ。

大きくて精悍な体は私たちの抱擁を誘うが、決してそれを許さない。

そんな大五郎が今、私に抱きついているのである。

ヨダレ~EE:AE478

・・・・・ときめいてしまった、猫に。

44歳ぽ子、女に返ったひとときである。