人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

エルの死神退治・その2

「じゃあお先に。」

私も早く寝たいのはやまやまだが、後片付けがあるので、早出サイクルの間はこうしてダンナが先に寝ることが多い。

その時、珍しく大五郎がやってきた。

そうかよしよし、じゃあちょっと喜び事なぞやってやるか。

爪とぎの上下をひっくり返す。

この爪とぎは両面とげるようになっていて、何度か引っくり返すことを繰り返すが、たいてい下の面の方がダメージが少なくなっている。なので、大五郎は下の面が出て来るととても喜ぶのだ。引っくり返しきる前に、飛び乗って爪をとぎ始める。

「あれ?」

ところがだ。

この時の大五郎は全く関心を示さなかった。

ちょっともう使い込み過ぎてたかなEE:AE5B1

いくら裏面がいいといっても、あまりボロボロでは大五郎のテンションも下がるのかもしれない。

ということは、もうこの爪とぎには魅力がないということだ。新しいのに替えてやろう。

しかしである。

大五郎はこれにも無関心で寄り付きもしなかったのである。

普通なら別に、大したことではない。まぁ気乗りがしなかったか、他の事に気を取られていたか。

しかしこの時は私にとって、「普通」ではなかったのである。

今、私は死神に命を狙われている。

いつ「その時」が来るのかは、死神にしか分からない。

なのでこういったイレギュラーが起こると、私はとてつもなくビビる。これは何かの前触れではないのか。大五郎は、何かを知っている。「かあちゃん、それどころじゃないんだぜEE:AEB30」彼はそれを伝えに来たんじゃないか。

私は一応、ダンナに別れの言葉を告げた。泣けてきた。ダンナは面倒臭そうに最後まで聞かずに逃げた。

いいよな、まだ余命が長い人は。気楽なものである。

そういえば今日、父から電話があったな。

体調が悪かったので一度はスルーしたのだが、2度目は気の毒になってこちらからかけ直したのである。

用事はなかった。ただ「どうしてるか、大丈夫か」と。

インフルか風邪をこじらせたかで、えらい目に合っていると伝えると、父は本当にとても心配していた。

このタイミングで、こんな電話。

もしかしてXデーは、今夜なのか。

ということなので、死神バスターのエルは私と寝たのだ。

しかしエルは一緒に布団に入ることもなく、二つ並べた隣の枕の上で、私に背を向けて寝てしまった。

まぁいい。これがデフォルトなのだ。かえって異変がなく、安心じゃないか。

オヤスミナサイ。

EE:AEAC4EE:AEAC4EE:AEAC4

どれぐらい経ったのだろうか。唐突に私は目が覚めた。パッチリと。

ふと隣を見ると、エルがキッチリとお座りして、すぐ横で私を見下ろしていたのでぶったまげた。

な、何EE:AEB2F何やってんの、エルEE:AEB2F

呼んでも反応はなく、撫でてみると何事もなかったかのように背を向けて、また枕の上でエルは横になってしまった。

何、今のEE:AEB64私、このあと心臓発作か何かで死ぬのかなEE:AE5B1

怖い。

このまま死ぬのは嫌だ。せめて「そんな感じがした」というアピールぐらいしておきたい。

私はダンナに、「エルがお座りしてこっちを見下ろしてた。怖い。」とだけラインしておいた。

死ぬ、ってどんな感じなんだろう。

私が今ここで急死するとしたら、何とか梗塞みたいなヤツかな。

一瞬かな。

苦しいのかな。

嫌だな。

眠れんEE:AEB64

さて、こうしてブログの更新をしているということは、死ななかったということである。

一体エルも大五郎も、何だったんだ。

やっぱり私は死ぬ予定だったところを、あの時エルが死神退治してくれてまた命拾いした、というのが、一番合理的な答えではなかろうか。

ダンナは変な顔をして笑った。