買い物に行こうと外に出ると、近所の子供が友達を連れて遊んでいた。
アヤカちゃんは確か、小学校2年生。
顔も可愛いが、いつもとてもおしゃれな洋服を着ていて本当に可愛らしい。
もちろん性格も、人懐こく素直で可愛い子である。
「あEE:AE595」
私を見つけると、笑顔になる。ホントに可愛い子だねEE:AEAAB
だから私も大げさに笑顔を作り、「アヤカちゃん、こんにちは!」と手を振りながら大きな声で言う。
めいっぱいのサービスだ。
これにより、私達はこれからも良い関係でいられるだろう。
するとアヤカちゃんはそこにいた友達のひとりに「ホラ!」と言って私の方を向かせた。
あぁ、この間アヤカちゃんと一緒に猫を見に来た子ね。
この子も時々道でばったり会うので、そのたび笑顔をサービスしてきた。
その甲斐あって、その子も「あEE:AE595」と言って笑顔になった。
どうよ、この人気。
男の子には嫌われているが(笑)
うちに向かってボール投げをしたりするので、敵対しているのだ。
怒鳴った訳でもないし、睨んだわけでもない、左の家の子には「ここは危ないからね」と、右の家の子にはアメリカ人のように人差し指を立てて左右に小さく振っただけである。
器の小さい小僧どもめ。
一方アヤカちゃんは、救世主であった。
我が家の末っ子猫大五郎が、子猫のころ工場の資材に挟まっていたところを、助け出してくれたのである。
そんな事から時々「猫見せてぇEE:AEAC5」とやって来る。
救世主様だ、面倒な時でも忙しい時でも、私は大きくなった大五郎を彼女に見せてあげた。
「名前はなんて言うの?」そりゃそうだ、気になるところだろう、あなたが助けた子猫ちゃんだ。
しかし「大五郎。」と言うと、「ひぇ~!?」と本気で驚き、「ルルちゃんにすればいいのに・・・。」とつぶやいた。
私もそう思った事はあったが(奇遇にも、当初差し上げるはずだったアンガ夫妻も同じ名前を考えていたのだ)、今となってはこの子がルルちゃんだなんて、チャンチャラおかしいわ。
アホな大五郎は、もう大五郎でしかないのだ。
名前のイメージ通りに育ってくれたわ・・・EE:AEB64
買い物から戻ると、アヤカちゃんたちはまだそこにいた。
アヤカちゃんは私に背中を向けるような格好になっていたので黙って通り過ぎようかとも思ったのだが、ハッ、大人がこれではいけない、アヤカちゃんはいつもちゃんと挨拶しているじゃないか。
「ア~ヤカちゃん^^」
私はアヤカちゃんの背中に向かって言った。ア~と伸ばすあたりもサービスである。
私は子供は好きだが、ついサービスしてしまうので、15分もいればかなり疲れる。
スナックでオヤジの相手をしていた方がラクだったが、もちろん返ってくる物はこちらのほうが尊く喜びが大きい。
だからやめられないのである。
しかし振り向いたアヤカちゃんの顔を見て、私は固まった。
泣いていたのである。
こ、これは、私の辞書にはないパターンである。
どうしよう、泡食ってつい「ごめんね、ごめんね、」と謝りまくってしまった。
しかしこれでは私がアヤカちゃんを泣かせたみたいである。
次にとっさに出た言葉は「仲良くしなさーい!」であったEE:AE4E6
全くいい加減で役に立たない大人である。
すると中の一人が「アヤカちゃんは、あの子と自転車のことでケンカしてるのー。」と説明した。
すぐそばにいるのに「私関係ありませーん」的な無責任さが私と似ていて笑えたが、私が仲裁するのも変なので、というか、どうしたらいいのか皆目見当がつかないので「あらら。」と言って逃げた。ごめんなさい。
家に戻って買ったものを冷蔵庫にしまったら、もう外では子供たちの笑い声がしていた。
子供のケンカなんてそんなものなのか。心配する事はなかったようである。
やがて窓辺にいる大五郎を見つけたようで、「あ、猫だ!」という声が聞こえてきたが、今日はスルーだ。
なぜなら私の手にはもう、ゲームのコントローラーが握られていたからである。