人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

5:50A.M

5時50分。

いつもより1時間近い早起きである。

これから毎朝こうなるだろう・・・娘ぶー子次第か。

とにかく、彼女が仕事を再開したので、私もその影響を受けるのである。

大学を辞めてからはしばらくバイトをしていたが、最後のダンスイベントのためにそれも辞めてしまった。

練習の時間がとれないからという事だったが、当然その間は収入がないのである。

もう二十歳になった、自分の意志で学校を辞めた、ならば自活せいという事で援助はしない方向だが、酷すぎる。

貧乏にも程がある。

仕方なく何度か金を貸したが、カード会社からもこのところガンガン電話がかかってきていて、本物の貧乏人のようである。

なぜイベントのためにバイトを辞めたのかと言うと、練習が不定期なうえ深夜練習が多く、両立できないとの事であった。

しかも練習には往復2千円の電車賃をかけ、向こうで食事をしなくてはならない。

フリマで小金を稼ぎ、マンガを古本屋に出した。

部屋中の小銭をかき集めて両替し、時々頼むお使いごとに「おつりはいらない」と言うと喜んだ。

それにしてもだ、よく今日までもったものだ。痩せないのが不思議だが。

車の免許も、教習所を出て、試験場で二度落ちたままである。

ぶー子の運転で酒を飲みに出るのが夢だったが、これも当分先だろう。

そしてやっと、イベントが終わった。

その後は毎日、イベントの動画を見ては「終わっちゃった・・・。」と腑抜けていたが、時間はどんどん流れているのである。

仕事をしなければぶー子はどんどん貧乏になり、ダンスもなくなりどんどん太り、カード会社の取り立てもどんどん厳しくなるだろう。

早速その後2、3日で、家の中に険悪なムードが流れるようになった。

「決まったよEE:AE4F9

正直、ニート街道まっしぐらも想定していたので、案外と早くて驚いた。

新宿のホテルだという。

新宿は分かるが、何故ホテル??

ぶー子がクラークやコンシェルジュになりたがっているなどと言う話など、ただの一度だって聞いた事がない。

それは巫女さんのバイトと同じぐらいのポジションである。

聞けば理由は「おしゃれだから。」であった・・・・・。

大学も「おしゃれだから」と決め、彼氏も「イケメンだから」と愛し、一体どれだけ見た目重視なのだ?

まぁそれでモチベーションが上がるならないよりも全然いいが、今後が不安である。

そのうえ驚いた事に、ぶー子は早番を選んだのだ。

前のバイトはショップだったので昼前に出て夜に帰って来るパターンだった。

ダンス練習に専念してからは、家にいる方が少ないぐらいだったのだ。

それが、突然これから毎日6時前に起きると言い出したので、驚くと同時に困惑した。

ぶー子以前に私ができるのか?それ。

そして極貧ぶー子のために弁当も作ることになった。

6時から7時半が、「一体これはなんだ?」というほど忙しかった。

おかげで寝不足にも関わらずパッチリ目は覚めたし、一度にふたり片付いてラクであった。

昼だとか夕方だとかにぶー子が唐突に腹を空かせて現れる事もなく、私も堂々と××できる。

一応ぶー子のために書いておくが、ラブホではなく普通のホテルだ。

そしてクラークでもコンシェルジュでもなく、レストランのキッチンであった(笑)

早速パンの耳を大量に持ち帰ったぶー子は、それを全部フレンチトーストとラスクにして一度に食べてしまった。

ダンスが終わり、仕事が始まった。

どっちが痩せるのか太るのか。

職場はキッチンである。