読んでみたら、前に一度読んだ本であった(笑)
まぁほとんど覚えてなかったので新作同様だが。
犬を保護し続けている人の本だ。
ある日迷い犬を連れて帰った事をきっかけに、何百という犬を保護するちょっとした団体にまでなり、今ではもうその道のプロである。
捨て犬、迷い犬、怪我をした犬・・・。
いつになっても不幸な犬の数は減らないが、著者北浦氏は地道に保護し、新しい家族を見つけていく。
悲惨な出会いからは想像できないほど、犬達は幸せになっていくのである。
そういう意味では心暖まる話だが、あまりの不幸な犬の多さ、保護活動の精神的・肉体的過酷さに暗い気持ちになった。
中でも、狩猟場に置き去りにされる犬の話には、憤りを感じた。
狩猟の始まるシーズンには、狩猟犬をうまく使いこなせない飼い主が置き去りにする。
シーズンが終わると、「御用済み」と捨てていかれる。
犬というのは忠実に人間に仕える動物であり、捨てて行かれてもなお、飼い主を求めて山中をさまよい歩くのである。
中には銃で撃ち殺されている犬もあり、北浦氏は「足を骨折させられて散弾を撃ち込まれた犬」を保護した事もあった。
また、保健所に拘留されている犬も、全てを助けることはできないのだ。
引き取り手のつきやすい、元気で若い犬を選ばなくてはならない。
それでも「つい」、と連れて帰ってしまう事も多々。
もうどうにも手の施しようのない犬を連れて帰り、病院へ連れて行き、短い最後の時間を一緒に過ごした話は泣けた。
「幸せをつかんだ犬たち」の話である。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「幸せをつかんだ犬たち」 北浦清人
幻冬舎文庫 ¥533+税